くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グレートウォール」「午後8時の訪問者」

kurawan2017-04-14

「グレートウォール」
チャン・イーモウ監督作品じゃなかったら行かないかもしれない中国歴史スペクタクル。なぜあの広大な万里の長城が作られたのか、その様々ない逸話の中の一話を基に描かれた物語で、とにかく、荒唐無稽で壮大なお話は中国映画らしいし、さすがに戦闘シーンの独特のオリジナリティの面白さはチャン・イーモウ監督作品らしい楽しさがあって、見応えのある映画でしたが、ドラマ性は全くなく、感動も何もなかった。ヒロイン役のジン・ティエンという女優さんがとっても魅力的で、最初から最後まで引き込まれてしまった。

新しい武器を求め放浪していたウィリアムらは、ある時万里の長城にたどり着き、その壮大さに圧倒される。しかし、この城を作った理由は60年に一度攻めてくるという化け物に対処するためで、この日がその戦いの日だった。

独創的な武器の数々で迎え撃つ中国軍の迫力に圧倒されるウィリアムだが、彼もまたその戦いに身を投じていく。

後はひたすら、スペクタクルの連続で、チャン・イーモウらしい赤や青の極彩色を画面のいたるところに配置した映像描写が美しいし、ど迫力の武器の数々、さらに戦う手法の面白さに目を奪われる。

クライマックスは化け物たちが中国軍の都に攻め入り、それを迎え撃つウィリアムたちの壮絶な戦いの後ハッピーエンドで幕切れ。お話としては実にシンプルだが、スペクタクル性は十分に楽しめる映画でした。


「午後8時の訪問者」
非常にしっかりと作られた作品ですが、正直、しんどいというか、もうちょっとサスペンス色がうまく演出されていたら傑作になり得たかもしれない作品でした。監督はジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟です。

小さな診療所で代理診療をしているジェニーの姿から映画始まる。一緒に診療している研修医は今ひとつ動きが鈍いという描写がされていて、それに対するジェニーのイライラが見て取れる。その夜、診療時間を超えて一人の女性がベルを鳴らしたが、すでに時間外だとジェニーは研修医に断るように言う。

研修医は何を気に入らないか、そっぽを向いたように帰ってしまい、ジェニーはその日を終えるが、翌日、警察が、近くで女性が死んだと言う事件があり、診療所の玄関のビデオを見せて欲しいとやってくる。

そしてそのビデオに映っていた女性が時間外に診療所に来た女性で、その女性が死んだことがわかる。

原因はジェニーにはないものの、その女性の身元もわからないままに埋葬されたことが気がかりになり、女性の身元を調べ始めるのが本編となる。

ここから、この死んだ女性に関わった青年や老人、彼女が娼婦だったらしく絡んでいた男の存在なども浮かんでくるのだが、今ひとつサスペンスが盛り上がらないし、隠されていた真実という展開も弱く、淡々とジェニーの苦悩としての流れがちょっと地味すぎてしんどい。

もちろん、狙っている方向だったのかもしれませんが、結局、隠れていた真実が浮かび上がってくるクライマックスになっているのと、身元がわかって、姉という人物がジェニーの元を訪ねて来て感謝するというラストシーンに結びつけるのなら、やはりサスペンスの色合いがもう少しあったほうがよかったかもしれないなと思います。

確かに、無駄のない映像作りになっていますが、引き込むための演出不足だったかと思えなくもない作品でした。