くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ウォーロード/男たちの誓い 」

ウォーロード/男たちの誓い

非常に厚みのある重厚な作品でした。「レッド・クリフ」とはある意味正反対の中国映画でした。

この作品の監督ピーター・チャンはほとんどのシーンでクローズアップを多用し、この作品が単なる歴史スペクタクルではないことを強調します。
実在の事件を元に描かれた男たちの絆の物語に焦点をしぼり、心の葛藤、男の生き様、それぞれの人生にかける意気込みをぐいぐいと画面から私たちに伝えてくるのです。

もちろん、スペクタクルな戦闘シーンも存在し、「レッド・クリフ」を思わせる壮大な戦場の場面も描かれていますが、そこに動くものは人人人・・
華麗な知略戦でも、豪傑の縦横無尽に暴れる姿でもありません。あくまで、人と人がぶつかり合い、殺し合い、血を流す。そこの映し出されるのは生々しい肉体の戦いなのです。

飢えに苦しみ、敵への憎しみに燃え、一方で村に残してきた家族を憂う、そんな兵士たちの姿、そしてそんな人々を統率せんがために時として非情な決断を強いられる主人公たち。心の葛藤、名誉への欲望、友情、それぞれがどの場面でも人間の物語として描かれていくところがこの作品の見事さといえると思います

冒頭、1人戦場に残された将軍パン(ジェット・リー)の姿に始まり、まるでじゅうたんのように敷き詰められた死体の中を半ば夢遊病者のようにさまよう。
そして、一人の女性に助けられ、一夜をともにし、町へ出てウーヤン(金城武)らに拾われて、やがて盗賊の中に身を十ずるまでが一気に物語を進めて引き込んでしまいます。

そして、盗賊のままでは村は守れないというパンの進言で太平天国の一味を待ち伏せし、倒す場面の戦闘シーンの見事さ。様式美にこだわりながらも、中国ならではの迫力あるシーンが中国歴史の一ページへと率いこんでしまい、あとはもう私たちをスクリーンに釘付けにするのです。

果たして、パンの目的は?ウーヤンの心の葛藤は?アルフ(アンディ・ラウ)の苦しみは?それぞれが、ラスト近くに流されるそれぞれの涙に象徴されるように、強大な歴史の波にもまれながら、崩れていかざるを得ない男同士の固い絆があまりにも切なく、そしてあまりにも大きな人間ドラマとして完成されていました。

ラストシーンに思わず、涙が流れてしまったのは私だけでしょうか?いい映画でした