くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「斉木楠雄のΨ難」「ミックス。」

kurawan2017-10-21

斉木楠雄のΨ難
こんな馬鹿馬鹿しい映画を金とって見せるな!というところだが、大好きなんですよね、福田雄一の世界。とにかく、背景にある理屈など吹っ飛ばして、ただノリだけで展開していくストーリー感が最高。もちろん、原作があるので、こういう物語なのでしょうが、しゃあしゃあと演出していく姿が見えてきて、楽しくて仕方ない。

なぜか生まれながらに天才というか、なんでもありの超能力を身にまとった斉木楠雄がいきなり登場、そして周りに集まってくる奇妙な人々をくそまじめに紹介。さらに自分の生誕から今までの流れもかいつまんで紹介。そのどれもがノリだけの世界。

物語はというと、高校に通う斉木楠雄は、なぜか自分に向いてくれない妄想女子照橋を避けながら、起こるであろうトラブルを未然に防ごうと、文化祭の一日を乗り越えようとする、ただそれだけの話。

ひたすらボケとツッコミの会話の連続、さらにやりたい放題のストーリー展開はいつもの如しなのだが、今回今ひとつインパクトが弱く、要所要所の決めの部分で笑いが起こりづらい。前作「銀魂」がよくそのインパクトを生み出していたのに、今回不発なのは残念。ほんのわずか、リズムに乗り切らなかったという感じでしょうか。でも楽しかった。こういうの大好きなんですよね。


ミックス。
やはり、古沢良太は映画の脚本に向いていない気がします。小ネタを羅列しようとするのですが、妙に間延びして、しかも今回は、人物背景が疎かで、説明でごまかす部分も多く、そのために物語に深みが出なかった。おそらく原作はちゃんと描かれているのでしょうが、さらに石川淳一の演出も的を射たところがなく、物語にキレがなかった。新垣結衣目当てなので、構わないのですが、彼女の魅力も今ひとつ物足りなかったです。

幼い頃から母に卓球のスパルタ訓練を受けたものの、結局、学生時代に他界、そのまま社会人になり平凡に暮らそうとしている主人公多満子の姿から映画が始まる。そして、出会うはずもない王子様江島が目の前に現れ、なんと幸福がと思いきや、浮気をされて落ち込んだ末に田舎に帰ってくる。

かつての卓球クラブは寂れているものの、それの立て直しと、自分を捨てた男が卓球の名選手でもあったので、彼を見返すために卓球を再開する。そこに、農家を営む中年夫婦や引きこもりの高校生、幼馴染で卓球仲間で今はセレブ奥様の友達などが絡んでくるのですが、それぞれのキャラクターが光ってこない。そして多満子のミックスの相手は元ボクサーで、妻の不倫を勘違いして傷害を起こした男萩原。

さらに、行きつけの中華屋の主人たちが元中国ナショナルチームだったりという個性的なキャラクターが次々出てくるのに、物語の中にスパイスとして生きてこないのが残念。

物語は萩原と多満子のラブストーリー的に進むものの、どこか脇役の支えが弱いのが最後まで尾を引いて、当然ながら、江島たちとの試合がクライマックスとなり、結局、ラッキーで江島ペアが勝つのだが、みんな前に進むようになり卓球クラブも繁盛してエンディング。

それとなく入るセリフも面白みにかけるし、出来栄えはまぁまぁの映画だった。でも広末涼子はこんな役もするかという熱演、さらに蒼井優やら面白い役で出てくるのも楽しいのですが、肝心の新垣結衣が魅力不完全燃焼が、がっかりという感じです。