くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ネリー・アルカン愛と孤独の淵で」「ポリーナ、私を踊る」

kurawan2017-11-07

ネリー・アルカン愛と孤独の淵で」
わからなくもないのですが、唐突にカットが変わって、小説の中の世界と現実に小説を書いている今が交互に展開するので、混乱というより、整理がついていない気がするのです。やはり場面転換のための伏線や描写は必要だと思うのですが、その辺りをなおざりにしているために混沌と流れていくのがしんどい作品でした。監督はアンヌ・エモン

一人の思春期らしい少女が歌を歌うシーンから映画が始まる。そしてカットが変わると、主人公ネリーが小説を書いている。かつてエスコート嬢だった自分の経験を書いているのだが、それは解説を読んでいたからわかるという描写なのが気になる。この後も、その区別を無視して展開するので、どんどん混沌として来る。

ある時、パリの出版社からマチューという人が連絡をくれて出版しないかと言ってくる。そして、出版したら大ベストセラーになって、物語は第二作、第三作と書いていく主人公と、小説の中の展開が繰り返される。

ただ、切り替えになんの工夫もないので、だんだん物語が混乱してきます。
実話を基にしているので、最後は主人公が自殺するシーンでエンディング。凡作ではないですが、もうちょっと丁寧に演出して欲しかった気します。


ポリーナ、私を踊る
面白くないわけではないのですが、物語の展開、構成の配分がよくないのか、やたら長く感じてしまいました。ただ、クライマックスのコンテンポラリーダンスのシーンは圧巻。監督はヴァレリー・ミューラー&アンジェラン・プレルジュカージュ。

主人公ポリーナの少女時代に始まり、やがてボリショイバレエ団に入団することになる。父親の夢を叶える娘に両親も喜びを隠せないが、ポリーナはパリに出て、違うバレエを身につけようと恋人とパリに出ていく。しかし練習中に怪我をし、その間に、生活のためのバーで働き始めるが、そこでコンテンポラリーダンスという、自由な発想で踊るダンスを目にし、その道に向かい始める。

非常に真面目に作られた作品で、ポリーナが変わっていく様が丁寧に描かれています。周辺の人間ドラマが描き切れていないために、ただ、ポリーナのドラマ部分の組み立てだけに頼っているところが無理が生じた感じです

ダンスシーンなどを効果的に使ってリズムを作り出せば面白い気がしますが、勿体無いですね。悪い映画ではなかったのに。


グッド・タイム
ちょっと面白いクライムサスペンス。こういう荒削りながら勢いで突っ走る映画はいいですね。見ていて楽しくなってしまいます。監督はジョシュ&ベニー・サフディ

知的障害のあるニックが、診察を受けているシーンに映画が始まる。そこに兄のコニーが飛び込んできて強引にニックを連れ出す。そしてカットが変わると二人は銀行強盗を働く。

盗んだ金を持ってタクシーに乗ったが、ニックが金を見ていると、時限装置で液体塗料が爆発、あわてた二人は近くの店のトイレに駆け込む。なんとか塗料を落として脱出するが、警察に追われ、ニックが捕まってしまう。

コニーは盗んだ金で保釈してもらおうとするが、1万ドル足りない。そこで、母親のところに行き、金を工面しようとし、保釈手続きしようとしたら、なんとニックは病院に移送されていた。

そこでコニーは病院に潜り込み、顔中包帯のニックを助け出すが、なんと人違いで、しかもその男も犯罪者で、二人で逃避行しながら、その男の金を山分けしようと金を隠した遊園地に忍び込む。

と、あれよあれよと物語が転がっていく様が実に爽快。結局、最後は警官に取り囲まれ、コニーは捕まり、男も逃げる途中でいるの上から落ちてしまう。ニックはというと、精神病院に収容されてわけのわからない部屋に入れられてエンディング。

なんとも言えない展開とラストに圧倒される映画でしたが、好きですねこういう映画は。楽しみました。