くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ルージュの手紙」「勝手にふるえてろ」

kurawan2017-12-27

ルージュの手紙
全体的には普通の映画なのですが、ラストで、人生をじわっと考えさせられる一本、やはりカトリーヌ・ドヌーブの存在感が光る作品でした。監督はマルタン・プロボ。

産婦人科に勤めるクレールの元に、長い間音信不通だった母ベアトリスから連絡が入る。父との離婚の原因になった自由奔放な性格のベアトリスに困惑するが、彼女は脳の腫瘍で余命いくばくもない状態だった。

クレールには一人息子がいるだけで、菜園をしている隣にいるポールという男といい仲になっていく一方、ベアトリスの存在がやや疎ましい。それでも、母の空気を漂わせる彼女に次第に心が動いていく自分も知る。

ベアトリスは、娘が恋人もできて、いい息子にめぐまれている姿を見るにつけ、自ら身を引くことを決意、クレールの元を去る。

いずこかへ消えたベアトリスの残した口付けの手紙と、クレールが預けた指輪を見つめるクレールの姿でエンディング。

人生が最後に迫ったベアトリスの心の揺らめきが伝わってくるラストシーンはなかなか胸に迫って来ました。作品としては普通だったかもしれませんが、光る場面がちらっと見れただけでも良かったです。


勝手にふるえてろ
とっても面白いはずなのですが、どこかほんの少しリズムが狂ってしまって普通になっていった感じ。まるでお笑いのボケとツッコミが滑った状態が残念な一本でした。まぁ、松岡茉優を見にいくのが目的なのでいいとしましょう。監督は大九明子

中学時代からひたすらイチに想いを寄せ、いまだに彼氏のできないヨシカは、会社の同僚のニから告白される。冒頭の今時のつぶやきとノリで突っ走る導入部が楽しい。

部屋の隣の住人や釣りをしているおじさん、コンビニの変わった店員、バスで乗り合わせる掃除のおばさん、駅員、菓子店の店員やカフェの金髪女など、個性的な面々とコミカルな会話を続ける主人公の姿と、意図せずして付き合っている風なニとの日々が展開。

リアルか妄想かわからないストーリー展開がとにかく個性的で面白いのですが、友人のふとした一言から一気に現実に引き戻され、自分がこれ以上ない孤独の底に落ちる。今まで話していた人々は透明人間のごとくなってしまい、自分の存在もなくなり、自暴自棄になり会社を休むことに。

そんな彼女に、一時は疎遠になったニが訪ねて来て、今までの全てを吐き出して言い合った後抱き合ってエンディング。

原作の面白さが映像になる時点で、歯車が狂ってしまった感じですが、なかなか楽しい映画でした。