「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」
福井県の高校のチアダンスチームが全米大会で優勝するという快挙を成し遂げた実話を基にした、いわゆるスポ根ドラマである。まぁ、広瀬すずを見に行っただけなので、それ以上は期待してなかったのですが、普通に退屈しないし楽しめました。林民夫の脚本がいいのだろう、ダレずに普通に見ることができた。監督は河合勇人です。
高校の入学式のクラブ勧誘の中を歩く主人公光の姿から映画が始まる。大好きな同級生を応援するためにチアダンス部に入団するが、そこの顧問の先生はスパルタで名を馳せた人物だった。
あとは例によってのメンバー同士の確執や紆余曲折があり、全米で優勝する場面をクライマックスに常道通りのストーリーが展開する。
今回その運動神経も買われての広瀬すずだろうが、せっかくの彼女の身体能力の面白さは生かされていないし、脇役が弱いので今ひとつストーリー展開に深みが出てこないのは残念。ただ、大嫌いな天海祐希があまり存在感を見せてなかったのが救いというべきですね。
普通に楽しむに十分な一本で、美少女たちの華麗なシーンを見るだけでも見た値打ちがあったというものです。それでいいんじゃないですかね。
「ざ・鬼太鼓座」(デジタルリマスター版)
ほとんど上映機会もなかった加藤泰監督の遺作にして異色のドキュメンタリー作品が4Kデジタルリマスターで上映されたので見に行った。
なるほど、ドキュメンタリーなのかフィクションなのかわからないほどの映像演出に冒頭から度肝を抜かれてしまう。日本的な様式美を徹底し、色彩と構図、さらに圧倒的な迫力で迫ってくる鬼太鼓座の姿は圧巻。
鬼太鼓座というのは佐渡の芸能集団で、体力を駆使し、太鼓や笛など伝統的な音楽を荒々しく音を奏でる古典芸能的な集団である。
とにかく、腹筋だけで体を支えて太鼓を激しく打ち鳴らす姿はもの凄い迫力であるし、それをダイナミックなカメラワークと美術、映像演出で見せる画面はとにかく美しい。
最後はそれぞれの鬼太鼓座のメンバーの紹介をテロップで流す背後で、雪の中ランニングをするメンバーたちの姿でエンディング。なるほど評価されるだけのことはある傑作ドキュメンタリーである。見事です。