くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ピッチ・パーフェクト ラストステージ」「マイ・プレシャス・リスト」「ハナレイ・ベイ」

ピッチ・パーフェクト ラストステージ

相変わらず楽しい映画。スラングだらけの会話と軽快なリズムの音楽、スピーディで単純なストーリー、何も考えず、画面だけを見ていればいい感じの作品。監督はトリッシュ・シー

 

ある豪華ヨットの上、べラーズのメンバーが歌っている。突然天井からエイミーが飛び降りてきて消火器をぶちかまし、船から脱出、船内は爆発して映画は三ヶ月前に。よくあるオープニングですが、軽快なアカペラ音楽でリズミカルにストーリーが進む。

 

バーデン大学を卒業したべラーズのメンバーはそれぞれの道を歩んでいたが、誰も思うようにならない。そんな彼女達にべラーズ再結成のチャンスがおとづれる。その物語の中で、エイミーの父の横やりが入り、強引にもべラーズのメンバーを豪華ヨットに拉致する。

 

それを聞いたエイミーが船に乗り込んで冒頭のシーンへ。途中のエピソードはひたすら男漁りのべラーズのメンバーの陽気な物語、軽快な音楽の数々、とにかく明るい。

 

品のない女子トークの連続は典型的なアメリカ映画の空気感。主人公ベッカのアナ・ケンドリックが大スターに見初められ、ソロデビューする物語を大団円に、シンプルそのもののエンターテインメントに仕上がっています。軽いけど楽しい、そんな映画でした。

 

マイ・プレシャス・リスト

とっても素直な映画ですが、どこかほろっと甘酸っぱくなるようなヒューマンドラマ、主人公キャリーを演じたベル・パウリーがとってもキュートで、彼女無くしてできなかった感じの映画でした。監督はスーザン・ジョンソン

 

主人公キャリーはまだ19歳ですがすでにハーバード大学飛び級で卒業した天才。しかし、彼女の話し相手はセラピストのペトロフだけだった。今日もその診察室に来て、自分が人より優れていることを語るキャリー。演じるベル・パウリーがキュートなので、嫌味にならない。

 

ペトロフは彼女に、心の成長のために年内に六つの目標を達成するようにアドバイスする。一方、キャリーは父の勧めで校正の仕事をするようになり、職場の同僚タラと仲良くなる。

 

キャリーの隣にはサイという男性が住んでいて、繋がったベランダを通じて、何かにつけて、話しかけるようになる。

 

キャリーはペトロフの目標を達成するべく、金魚を買い、新聞の出会い欄で結婚間近の男性と会ってみたりする。一方、学校の教授とも付き合い始める。しかし、もう一歩で、彼女は心を開けない。

 

しかし、ペトロフが提案した目標を達成しようとするうちに、少しずつキャリーに変化が見えてくる。キャリーは、母を亡くし、父が再婚すると聞き、孤独を隠せなくなっていた。そして、大学の教授に貸した貴重な初版本を父が取り返してくれたことで、とうとう、素直な心を開いたキャリーは、父と話し、隣のサイと親しくなり、二人でベランダで花火を見るカットで映画が終わる。

 

ベル・パウリーの個性で引っ張る作品ですが、さりげなく成長する少女のどこか甘酸っぱい物語がちょっと素敵。所々に、雑な部分も見える脚本ですが、欠点を目をつむっても、見終わって、ほんのり心が暖かくなる作品でした。

 

「ハナレイ・ベイ」

なんともつまらない映画だった。ほとんど吉田羊扮するサチのドラマだが、何をどう感想していいかわからない展開の映画でした。脇で出てくる日本人サーファー二人の存在感も今ひとつで、この二人で主人公の心のドラマが動くはずが見えない。監督は松永大司

 

サチがハワイへ息子の遺骨を引き取りに行くシーンから映画が始まる。息子のタカシはハワイへサーフィンに行き、サメに襲われ死んだのである。遺体の右足が無残にもぎ取られていた。

 

サチはそれから毎年、ハワイへ出かけて浜辺で本を読むようになる。ドラッグ中毒の夫との間に生まれたタカシはサチに反抗的で、ハワイへ行くのに金をせびるような息子だった。

 

10年経ったある時、サチはハワイで二人の日本人サーファーと出会う。さりげない会話をしながら、彼らが帰る時、浜辺で見た片足のサーファーの話をする。そのサーファーは赤いサーフボードを持ち、まるでタカシの姿だった。

 

サチはいるはずもないサーファーを探し、預けていたタカシの手形を受け取る。帰ってきたサチは偶然、あの時のサーファーの一人に会う。間も無く大学卒業で、少し大人になった彼を見て、どこか息子を思い出したようなサチの姿があった。

 

10年間息子への思いを胸に抱き、憎みながらも自分の本心を探していたサチの成長物語だが、いかにも叙情的すぎて、それも描ききれず終わった感じの作品。村上春樹の原作がどうかわからないけれど、映画としては凡作だった。