「ディア・ハンター」(4Kデジタル修復版)
久しぶりに見直した。言うまでもなく、反戦映画の名作であるが、今となってはベトナム戦争は過去のものですね。しかし、こういう一級品の名作を見ると心が洗われます。監督はマイケル・チミノ。
友人スティーブンの結婚式の大騒ぎの日から映画が幕を開ける。マイケル、親友のニック、スティーブンは月曜日のベトナム戦争の兵役に行くことになっている。小さな村の友人達、スタンなどは残っていた。ニックは、リンダに、兵役から帰ってきたら結婚しようと告げる。
そしてマイケル達は鹿狩りに出かける。美しい山々の自然位囲まれる中、マイケルは一発で獲物を仕留める。そして映画はベトナム戦線に変わる。
ベトコンに捕まり、人と扱われず檻に入れられているマイケル、スティーブン、ニック。ベトコンは彼らにロシアンルーレットをやらせて、賭けをしていた。スティーブンは精神が破綻する寸前までいってしまう。このままではいずれ死ぬと判断したマイケルはニックと勝負をすることにし、三発の銃弾を入れて、一か八かの脱出を図る。
そしてなんとか脱出、スティーブンも含め三人は川を下っていく。そして、ヘリコプターにニックは助けられるが、スティーブンとマイケルは再び川へ。脚を負傷したスティーブンを背負ってマイケルは脱出する。そしてスティーブンをジープに乗せる。
時が経ち、ニックは軍の病院へ。しかし、精神にやや異常をきたし、夜のサイゴンで、ロシアンルーレットをしている裏社会を見てしまう。
やがてマイケルは帰還、スティーブンは車椅子になって病院にいた。そしてなぜかスティーブンに大金が送られてくるのを見てニックと思ったマイケルは再度サイゴンへ行き、ニックを探す。ベトナム戦争も終盤に差し掛かり混乱を極めていた。
ようやくニックを見つけたが、すでに自分を見失い淡々とロシアンルーレットをして生きていた。マイケルは自ら賭けに参加し、ニックに思い出してもらおうとするが、ニックは最初の引き金で死んでしまう。
ニックの葬儀のシーンから、そのあと友人達の集いで映画が終わる。初めて見たときはもっと綺麗だった印象があるのですが、もちろん今回の修復版も十分美しいし、多分こういう感じだったのだと思いますが、やはり初見の第一印象というのはインパクトが強いのでしょうね。三時間近い大作なのに全然長さを感じませんでした。完成された脚本、演出のなせる技でしょうか。良かったです。
「生まれながらの殺し屋」
ファムファタールが暗躍するフィルムノワールという感じの映画なのですが、最初はどういう方向の物語かわからなかった。監督はロバート・ワイズ。
主人公ヘレンが協議離婚が成立したと友人の家にやってくるところから映画が始まる。そして、カジノへ行きそこでサムという男と出会う。一方、さっきの友人が男と家に帰ると、サムが待ち構えていて、男は殺され、女も自分と二股をかけてたかと疑われ殺される。
そして、サムは金持ちでヘレンの妹と結婚する運びになるが、ヘレンのは別の婚約者が出来ている。しかし、ヘレンとサムはどうやら愛し合ってるようなのだが、何かにつけて、喧嘩をする。また、冒頭の殺人を調べている女が探偵を雇いサムの周りをうろつくので、ヘレンがなんとかしようとするが、それもまた諍いのもとになりと、どう流れるかわからないまま、結局、ヘレンとサムが丸く収まってエンディング。
何度も眠くなってしまって、多分そういった話だったと思うが、不思議な映画だった。
暗い画面を多用し、この時代では珍しい空撮シーンを多用した作品。ニコラス・レイ監督のデビュー作。
仲間と三人で銀行強盗を繰り返すボウイは、この日、一軒の家に匿われる。そこにはアル中の親父とキーチーという女性がいた。若いボウイは一目でキーチーに惚れてしまう。
ある時、大きな仕事を成し遂げ大金を手にしたボウイ達だが、帰り道で車の事故を起こし、怪我をしたボウイはキーチーの家で休養することになる。しかし残りの二人はその後も仕事をし、そのどれもがボウイの仕業であるかに新聞に載るようになる。
ボウイはキーチーと家を出て二人は結婚、ハネムーンの旅行を続けるが、そんなボウイのところにかつての仲間が誘いにくる。仕方なく出かけてボウイだが、失敗して一人は死んでしまい、もう一人とも諍いを起こし、抜けて一人も死んでしまう。
しかし、警察は執拗にボウイ達を追っていた。なんとか逃げ込んだモーテルで、キーチーは体調を崩し、一方、ボウイはメキシコに逃げるべく段取りしようとするがうまくいかず、モーテルの女主人が自分の夫の釈放と引き換えにボウイ達を警察に密告。
そうとは知らず戻ったボウイは警察に射殺される。キーチーはボウイの愛に手紙を読んで映画が終わる。切ない青春ラブストーリーとして仕上げられた佳作という感じの一品。なかなかの映画でした。