くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「バーニング 劇場版」「フロントランナー」

「バーニング 劇場版」

二時間を超える作品なのに、意外と長さを感じない。シンプルなストーリーなのに、独特のリズムで最後まで引っ張られた感じの作品でした。監督はイ・チャンドン

 

バイトをしながら田舎暮らしのジョンスは、ある時街で幼馴染のシン・ヘミと再会する。街頭のくじ引きで女物の時計を手に入れたジョンスは何気なく彼女にプレゼントする。彼女は近く旅行に行くので、愛猫に餌をやって欲しいと頼む。何気なく請け負うジョンスだが、彼女の家に行っても猫らしいものはいない。

 

帰ってきたジョンスはいかにも金持ちそうなボーイフレンドのベンと彼の前に現れる。そして三人は何かにつけ一緒に食事したり飲んだりするようになるが、ある時ヘミに連絡が取れなくなる。

 

ジョンスはベンが何か知っているだろうと後をつけたりするが、手がかりが見つからない。かつてヘミと一緒にベンの家に行った時、洗面所で女物のアクセサリーの箱をジョンスは見つけていた。

 

ある時、ベンを付け回していて、ベンから自宅に招かれる。前はいなかった猫がいて、外に逃げたが、ジョンスがかつてヘミに聞いていた猫の名前をいうと寄ってくる。さらに洗面台のアクセサリー箱に、ヘミにプレゼントした時計が入っていた。ジョンスはベンがヘミをどうにかしたと判断して、外に呼び出してナイフで刺し、車ごと燃やしてしまう。

 

映画はここで終わります。果たしてベンが本当に女を殺戮する異常者だったのか、ジョンスの妄想だったのか、いたるところに出てくる伏線が不思議な空気感を生み出しています。

 

結局その曖昧さで映画を締めくくったミステリーという仕上がりでしょう。淡々と展開する物語と寒々した映像はなかなか優れていますが、好みの映画ではない感じでした。

 

「フロントランナー」

マスコミが個人のプライバシーを叩く話は嫌いなのですが、この作品も御多分に洩れずでした。ただ、できが普通レベルだったので見れたという感じでしょうか。ラストの、主人公の演説に監督の思いが込められていた気もするのが救いでした。監督はジェイソン・ライトマン

 

マスコミが大勢集まる中、大統領選なのかよくわからないが議員たちのありようが長回しで延々と映されて映画が始まる。それから四年、主人公ゲイリー・ハートは大統領選で最有力候補として選挙活動をしていた。

 

ところがマイアミヘラルド紙の記者が、ハートを張り込んでいて思いももかけない女性とのスキャンダルをつかんでしまう。その真偽は最後の最後までわからないのだが、その記事でハートの立場は一気に逆転され、さらに、マスコミの執拗な攻撃は家族に向かうにつき、とうとう出馬を辞退する決心をする。

 

本人よりもその周辺のプライバシーにまで踏み込むマスコミの姿に躊躇することなく若者たちは未来に向かって欲しいという意味の最後の演説が、まさに胸に迫るものがありました。

 

映画の出来栄えは普通だった気がしますが、一つのメッセージとしては見るべき一本だったと思います。