くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「E.T.」「浅草紅団」「ある少年の告白」

E.T.

スティーブン・スピルバーグ監督作品40年ぶりくらいの再見。あれだけヒットした原因は、脚本が実にコンパクトにまとめられているところにあったのかなと、改めて感じました。初めて見たときは「未知との遭遇」のインパクトの強さが圧倒的で自分としては影が薄い作品でしたが、やはり見直してみて、なんとなくわかりました。もちろんラストは泣いてしまいましたけどね。

 

どこかの星から来た宇宙人、その存在を調査している政府の人間らしいメンバーに追いかけられているうちに帰り損ねた宇宙人が、土地の子供と親しくなり、やがて宇宙船が迎えに来て帰っていく。実にシンプルな話で、凝ったメッセージも展開もない。よく見ているとかなり雑な処理をしたストーリー展開でもあるのですが、そういうのを無視して楽しめるエンタメに仕上がっています。ここが実に見事。

 

自転車が飛ぶ名シーンの数々でスピルバーグの才能を垣間見ることができますが、映画作品としては他のスピルバーグ作品に比べ抜きん出た傑作というわけではないように思います。

 

「浅草紅団」

たわいのない人情物語ですが、娯楽としてしっかり作られ、みていて楽しくなってしまう。これが映画全盛期の力でしょうね。京マチ子の舞台シーンをこれでもかと見せたり乙羽信子の歌唱シーンを何度も聞かせたり、とにかくみていてハッピーになってしまいます。監督は久松静児

 

浅草で剣劇スターの紅龍子が舞うシーンから映画が幕を開ける。彼女は幼い頃この地のヤクザ中根に拾われ今までになったが、中根は別の舞台のスター、マキをものにしようとしていた。かつて中根に怪我をさせ逮捕されていたマキの恋人島吉が帰ってくるという噂を聞き、中根はなんとか捕まえて痛い目に合わせようと待っている。

 

物語はマキと島吉の恋の行方、島吉を付け狙う中根、中根に縛られながらも、独り立ちしていく龍子らの絡み合う物語が展開していく。

 

最後は予定通りめでたしめでたしで、実は龍子とマキは腹違いの姉妹だったなどという人情エピソードも入るがとってつけたようで、結局中根たちは警察に捕まり大団円。京マチ子の舞台上での大見得でエンディング。まぁ楽しいね。

 

「ある少年の告白」

映画作品としてはしっかりと演出された仕上がりになっていると思いますが、LGBTをひたすら認めなさいというメッセージの押し付けがきつくて、どうにも主人公ジャレッドに共感できずに終わってしまった。監督はジョエル・エドガートン

 

ジャレッドの幼い日々の微笑ましいホームムービーから映画が始まる。そしてやがて青年となり大学へ行くが、そこで、ゲイの学生にレイプされ、以前から感じていた違和感の意味を知る。自分はゲイだと自覚したのである。

 

生真面目な牧師でもある父は彼の告白を聞き、矯正施設に行かせることを決意、母に連れられジャレッドは矯正施設にやってくる。そこは、指導内容を一切極秘にし、洗脳するほどな強硬な指導を続ける狂信的なところだった。

 

逃げ出そうにも逃げ出せない束縛感を与える施設のやり方に徐々に反感を覚えてくるが、両親、特に父は断固許さなかった。しかし、ジャレッドはある時とうとう我慢しきれず施設を脱出する。そして母の理解もあり、元の生活に戻り、施設での出来事を記事にしてタイムズに投稿する。

 

いつまでも父は認めることをしなかったが、最後の挨拶に行ったジャレッドに、努力すると伝える。

 

実話を基にしているので、崩せない部分もあるだろうが、LGBTをただ認めろというメッセージが強すぎ、認めないもの、矯正しようとするものは全て悪のごとき描き方は正直納得できないし、それを神のせいとか訴えてくる姿勢も受け入れられない。

 

LGBTはあくまで異常であることが大前提の上、それを受け入れるべきものだと思う。出演者全ての熱演と、このテーマへの思い入れはわかるがやや一方的すぎるように思ってしまいました。