「The Crossing ザ・クロッシング Part1 Part2」
第二次大戦後の中国内乱を背景にした大河ロマンで、およそジョン・ウー監督らしからぬ題材に思えますが、戦闘シーンの迫力はやはり彼の手腕発揮という感じです。
上海、中国国民党の若き司令官レイは、舞踏会でチョウと出会い結婚をする。しかし、やがて内乱が激しくなり、レイは戦地へ赴く。チョウは安全のため台湾へ移ることになる。
日本軍の軍医として勤務していたザークンは第二次大戦終戦後捕虜として収容所にいたがのちに台湾の実家に戻ってくる。ザークンには第二次大戦中日本人の雅子と恋仲になっていたが、雅子は日本へ強制送還され別れ別れになっていた。
ここにもう一人、愛する恋人に会うために生きるユイという女性がいた。たまたま街頭で、家族手当の支給をもらうために女性と一緒の写真が必要だったトンは彼女と写真を撮る。そしてそのまま戦地へ。トンは戦地でユイとの写真を家族写真として心の励みにしていた。
司令官として赴任したレイはチョウとの写真を持ち、たまたま戦地で通信兵のトンと出会う。また、チョウは台湾の家でたまたまかかっていた絵の中に一冊の日記を見つける。その絵はザークンが雅子を書いたもので、日記は雅子のザークンへの想いを綴ったものだった。
チョウは蛇に噛まれその治療でザークンの診療所に行き、そこで絵の持ち主ザークンと出会う。そして、ザークンはチョウに雅子との思い出などを語る。
前半は、人民軍とレイの率いる国民党軍との戦場のシーンがクライマックスとなり、戦況が悪化する国民党軍は、次第に劣勢となり、最後の突撃命令の中、レイは命を落とし、トンも瀕死の重傷を追う。そして物語は後半へ流れる。
後編は上海から台湾へ向かう太平輪号の海難事故がクライマックスになる。
ザークンは学生運動で家を飛び出した弟を連れ戻すために上海へ行く。ユイは恋人を探すために上海から台湾に行くための船の切符を手に入れるため、娼婦をして生活していた。
国民党軍が敗戦を余儀なくされ蒋介石もその代表を辞任するに及んで、上海から台湾へ避難する人が太平輪号に殺到する。偶然から切符を手にいれたユイもこの船に乗り、ザークンは弟を連れてこの船に乗ろうとするがすんでのところで弟は残る。
船には傷病兵も乗っていて、トンもその中にいた。ユイはそこでトンに再会するが直後、太平輪号は貨物船と衝突し、沈没してしまう。ユイ、ザークン、トンらも海に投げ出され、救出の船を待つ。
トンはレイから、自分の日記を妻チョウに届けるという任務があった。一方、ザークンは身勝手な客にナイフを突き立てられ、海に沈むが、死の直前雅子の姿を見る。次々と沈んでいく中、救助船が到着、トンとユイは助かる。
エピローグは、無事チョウに手帳を届けるトン、さらにユイらも一緒になって映画は終わる。
ジョン・ウーらしくない大河ロマンですが、三つの話が絡みながら一つにまとまる中でのスペクタクルなシーンを交えた展開はそれなりに見応えもあります。ただ、お話が中国内乱期をを描いていることもあり、完成から四年でようやく公開となった感じです。