くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハッピー・デス・デイ」「ピアッシング」

「ハッピー・デス・デイ」

これは面白かった。どちらかというとホラーサスペンスコメディー。このコメディの部分が秀逸。全体の雰囲気はホラーで始まるのに、どんどん主人公が吹っ切れてくる展開が楽しい。しかも、エンドクレジットの後にはさらにお楽しみが。監督はクリストファー・ランドン。

 

突然、大学のクラスメートの男の子カーターの部屋で目を覚ましたツリー。日頃から憎まれ口ばかりで人を食ったような行いをしている彼女。この日もカーターの部屋を飛び出し、いつものように部屋に戻ると同室のロリが誕生祝いのケーキをくれるが、それを捨てて学校へ。

 

学校でグレゴリー教授と不倫をしていて、すんでのところで奥さんと鉢合わせ寸前。この日はサプライズパーティがあり、出かけるが、途中のトンネルで怪しいあかりとハッピーバースデーの曲。そして突然現れたマスクをかぶった男に殺されてしまう。その瞬間カーターの部屋で眼を覚ます。そして1日を過ごすが、夜になるとまたマスクの男に殺される。

 

何かがおかしいと感じるツリー。殺されるたびにカーターの部屋で目をさましながら、このループから抜け出すべく行動を始める。ここから少しコミカルに展開する。

 

どうせ生き返るし、みんな忘れるのだから好き勝手に振舞いながら、自分を殺そうとするらしい人物を削除していく。そしてたどり着いたのは、ロリが務める病院にいる凶悪犯トゥーム。彼は脱走し、次々と女を殺していた。そこで、出来事が分かっているツリーはまんまとトゥームを罠にかけ倒すのだが、その時、トゥームがカーターを殺したので、再度、ツリーはわざと死んで時間を戻し、今度は、これまでの自分の行いを反省して良い人で振る舞い、見事トゥームを倒す。そして、カーターとハッピーな夜を迎え、ロリの作ったケーキでお祝い。

 

ところが、なぜかツリーはまたカーターの部屋で目を覚ます。何を間違えたのか?狂ったように部屋に戻るのだが、ロリがケーキをくれたことで全ての謎がわかる。ツリーが眠っている間に殺された。それができるのはケーキに毒が入っていたということ。そしてロリに詰め寄ると、ロリはグレゴリーをツリーにとられたことなどからツリーを恨んでいた。そして、格闘の末、ロリにケーキを食わせ、窓から突き落とし、とうとうループから逃れ、カーターとハッピーな朝を迎えてエンディング。

 

なのだが、エンドクレジットの後、さらなるこの映画の続編がCMで流れる。繰り返し体験する事でさらに本当の真相へとつながる。

 

とにかく、物語が実に凝っていて、単純なタイムループホラーではない面白さを潜ませているのがいい。中盤からコミカルに展開していくノリも面白いし、さらにラストのどんでん返しも良くできている。久しぶりにこの手の映画で楽しみました。

 

ピアッシング

ちょっとシュールな心理サスペンスという感じで、全体が独特のリズム感で展開する様はちょっと面白い。ただSMシーンがちょっとリアルすぎて、感情的に目を背けてしまいたくなるので、ちょっと嫌悪感がともなったので、そこは辛かった。監督はニコラス・ペッシュ。

 

まるで、アクション映画のような空気の音楽と、幾何学的にミニチュアを捉えるかのようにビル群を映し出していくカメラにまず引き込まれます。室内に入ると一人の男リードが自分の赤ん坊にアイスピックを今にも刺さんとしている。そこに母親が声をかけて物語が始まる。

 

仕事を偽って家を出たリードは、ホテルでこれから行おうとする計画を綿密にシミュレーションを始める。娼婦を呼び、クロロホルムで眠らせ、ロープで縛ってアイスピックで刺し殺す。そのあと死体をバラバラにして処理するまでを事細かく手帳に書き留めていく。

 

そして、当初予定していた翌日の計画を今夜に変更、やってきたのはジャッキーという娼婦だった。しかし、自慰を見せて、リードがつい笑ったためにシャワールームにこもってしまう。なかなか出てこないので入ってみると、ジャッキーは自分で太ももにハサミを突き立てていた。

 

リードは彼女を助け出し、病院へ連れて行き、治療の後、ジャッキーの言われるままにジャッキーの家に行くが、そこで、ジャッキーを縛り、あわやアイスピックで刺そうとしてそのまま気を失ってしまう。ジャッキーはリードが気を失っている間にリードのノートを読む。

 

リードが目覚めると、猿轡を嵌められ拘束されていた。そしてジャッキーは今日の記念にと乳首にピアスを刺す。そして、リードにアイスピックを刺さんと馬乗りになり、猿轡を外すが、リードは、まずは何か食べようと言って映画は終わる。狂っているような二人がまるで日常生活に入るように倒錯した世界に踏み込まんとするラストがなかなか。

 

リードがジャッキーを呼び、時にスプリット画面でハロウィンのテーマが流れたり、音楽センスが独特なのと、ビルをまるでミニチュアのようにゆっくりとしたリズムで捉えていくカメラワークが実に面白い。

 

全体にシュールな仕上がりの独特の映画で、見ていて映像的な面白さに浸ることができるけれど、ちょっとシュールすぎて眠くなってしまいました。