くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「影の抱かれて眠れ」「台風家族」「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」

「影に抱かれて眠れ」

ついになんばパークスで一人鑑賞!とそれだけがこの映画を見た値打ちという感じでした。物語がてんこ盛り過ぎて、何を中心に見るのか全くわからなかった。監督は和泉聖治

 

冬樹、信治、正人の三人がキャッチボールをしているシーンからカラーに変わる。冬樹はちょっと売れている画家であるが、どこか裏の世界とも通じているようである。かつてチンピラだった信治と正人は彼のおかげで真っ当な毎日を送っていた。

 

ある時、信治が風俗の少女を足抜けさせ、駆け込み教会に連れて行ったことから話が動き始める。のですが、この信治が少女を次々と足抜けさせるドラマと、その背後にあるヤクザもの同士の争い、さらに冬樹の絵を自分が描かれているという感想で引き込まれた女性京子とのお話がごっちゃ混ぜに展開して、全く整理できていないので、何が何やらという展開になる。

 

結局、京子は癌で、最後に冬樹に刺青の絵を彫ってもらい死んでいく。信治は冬樹らに助けられていたのに結局やくざ者に殺される。その仕返しにヤクザ同士を争わせようとした冬樹と正人だが、結局冬樹はヤクザの親玉と喧嘩をして殺されてしまう。

 

ラストのまとめ上げもダラダラで、途中の展開もごちゃごちゃで、何がどういうことかわからないままの映画だった。もっと思い切ってどこを描くのかだけ残して他を削除すべきだったかと思います。

 

「台風家族」

脚本がいいのでそこそこの仕上がりになったという典型的な映画でした。ちょっとうまく演出すれば傑作になったろうに本当にもったいない。ストーリーのどんでん返しの面白さと、じわっと感動させる人間ドラマの挿入の繰り返し、さらにラストの畳み掛けがうまいのですが残念。一番のミスは草彅剛のミスキャストです。彼でなく、もっと演技のできる人ならストーリーを牽引できたろうにと思います。監督は市井昌秀

 

一鉄が銀行強盗をする場面に始まり、長男の小鉄らがマスコミに会うカットが入って時は現代へ。両親が失踪して10年が立ったため、葬式を行うことにして家族が集まってくる。長男の小鉄夫婦、次男の京介、長女の麗奈、そして小鉄の娘ユズキがやって来る。間も無くして麗奈の今彼もやってきて葬儀を始めるが、実は棺桶の中には遺体はない。

 

葬儀が終わり、財産分けをしようとして、やたら金に固執する小鉄。そこへ三男の千尋がやってきて、実は葬儀を仕掛けたのは彼で、YouTuberになった彼はこのドタバタをネットに流していた。そんなところへ、すでに時効は成立し、奪った二千万も返す必要がないと思っていたところへ、当時の銀行マンがやってきて、実はそれは成立しないと言って帰る。

 

さらに、一鉄が銀行強盗した理由は、オレオレ詐欺の電話をした私が原因だと一人の女がやって来る。さらに、母の光子は認知症だったらしく、それを隠して面倒を父が見ていたことも明らかになる。さらに、なぜオレオレ詐欺に簡単にかかったのかの理由も明らかになり、というてんこ盛りの設定が次々と出て来る。この展開が実に面白いのだが演出力の弱さが台無しにしているのが残念。

 

そして、間も無く台風が襲う。家族は両親がどこに隠れているのかを考え、小鉄らが子供の頃家族で行ったキャンプ場と判明、行ってみれば、一鉄は金を用意して電話した時に光子が急死、その遺体を背負って頭を打ってその場で死んでしまい、その骸骨が河原にあるのを発見する。とまあ、さらに次々とエピソードが溢れ出て来る。

 

台風の増水で川を流れていく遺体を追いかけ、やがて遺体は海へ流れ、浜辺で感慨にふける家族だが、結局小鉄いけ好かないやつで、ユズキが「最低!」と叫んでエンディング。

 

とにかく、カメラアングルを縦に構えるので、映像が妙にバランスが悪いし、次々と出てくる新たな事件の処理がうまく行っていないので、爽快感が見えてこない。しかも草彅剛の演技が嘘みたいに素人くさくて見てられない。舞台劇的なワンシチュエーションに近いドラマなのでそこをもっと面白く映像演出すべきだったと思います。

 

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜

ますます橋本環奈のファンになってしまいました。映画は大したことないし、今時の悪ノリコミックのユーモア感満載の凡作ですが、橋本環奈がとにかく可愛いし、脇役の女子がみんなチャーミングで、最後まで楽しくて仕方なかった。監督は河合勇人

 

超有名高でモテモテナンバーワンの天才御行、そして超セレブのかぐやは生徒会長と副会長の座にいた。お互い意識しているにもかかわらずプライドが許さず自分からは告白をせず、なんとか相手に告白させようと頭脳戦を展開するのは冒頭の展開。本来ここがこの作品の面白さでポイントであるはずが、すぐにただの恋愛ストーリーになってしまってあとはよくある展開へ。

 

どうも原作の魅力を理解していないのか、今時コミックユーモアギャグだけでほとんどを切り抜けていく脚本と演出は残念ですが、橋本環奈の可愛らしさで物語はなんとか進んでいく。

 

で、なりようになって映画は終わるのですが、なにわともあれ、橋本環奈のキュートさだけを目一杯楽しんだだけで十分満腹した感じです。見てよかった。