午前十時の映画祭で30年ぶりくらいの再見。やはりいい映画です。大人の映画ですね。刑務所の中に社会の縮図というか人生の縮図というものが凝縮され、そこで人々が未来への希望に向かい始める人間ドラマになっている。名作です。監督はフランク・ダラポン。
主人公アンディが大きな邸宅の前に車を停めている。邸宅の中では妻とプロゴルファーの愛人は逢引をしている。アンディの手には拳銃が握られている。間も無くしてアンディが法廷に立っている。妻とその愛人を撃ち殺した罪で、無期懲役の判決が出る。そして彼はショーシャンク刑務所へ送られる。しかし彼は無実だった。
刑務所では、新入りいじめや、ホモたちに狙われるが、レッドという黒人の男はアンディに注目していた。レッドも無期懲役で、すでに20年ここにいる。調達屋と呼ばれ、いろんなものを手に入れる役割だった。
アンディは自分を見失わず、時に希望のない刑務所に希望を作り出し、図書館を拡張したり、勝手に音楽を流したりして、次第にレッドたちに気に入られる。さらに、銀行員だったという知識と持ち前の機転で刑務所の所長たちからも気に入られ、やがて、所長の不正帳簿の経理の仕事をするようになる。
そんな時、トニーという若者が入ってくる。アンディは彼に高校の資格を取らせようとする。そんなある時、トニーは以前いた刑務所で
エルモという強盗が、ある家でプロゴルファーと人妻らしい女を撃ち殺したと言っていたとアンディに話す。アンディは再審を求めるべく所長に掛け合うも、自分の不正の片棒を担いでいるアンディを離そうとせず、懲罰房に入れた上、トニーを殺してしまう。
ようやく一般棟へ戻ったアンディは、レッドに、もしも将来仮釈放されたら、あるところにあるものを掘り出してほしいと告げる。意味もわからず返事したレッドだが、その翌朝、アンディは姿をくらます。なんと、自分の部屋の壁に貼ったポスターの後ろに脱獄の穴を掘っていたのだ。しかも、所長の片棒を担ぎながら、金を巧みに手に入れられるように計画していた。アンディが収監されて二十年が経っていた。
やがて、年老いたレッドは仮釈放になり、一時はシャバで暮らし始めるも居場所がない虚しさを感じ始めていた。かつて仮釈放されて自殺した年老いた囚人と同じ思いに駆られていたが、ふとアンディの言葉が蘇り、指示された森の木の根元を掘ってみると、アンディの手紙と旅費が入っていた。レッドは、アンディが行きたいと言っていたメキシコ国境の太平洋に面した街へやってくる。その浜辺でボートを磨くアンディの姿があった。
と、思い出しても見事な映画です。生きること、生きがい、希望、人生、それぞれが凝縮され、ラストシーンでなんとも言えない感動を生み出してくれます。見直してよかった。アカデミー賞では7部門ノミネートですが、「フォレスト・ガンプ」にさらわれていますが、甲乙つけがたい作品だと思います。