「女囚の掟」
フィルムノワールの一本と言えないくらいにものすごく完成度の高い人間ドラマでした。主人公の心の変化、舞台となる女性監房のドラマティックな展開が見事に描かれていました。監督はジョン・クロムウェル。
主人公マリーが強盗の罪で収監されてくるところから映画始まる。タイトルバックが移送されるトラックの中という画面作りがまず面白い。
女ばかりの刑務所で、リーダー格のキティ、横暴を振るう看守のハーパー、ヒューマニストの所長など、キャラクター設定が明確に色分けされ、その中でドラマが展開していく。
最初はおどおどし、頼りないマリーだが、子供を産み、その子供が政府に引き取られてしまい、頼りにしていた母からも見放されるに及んで、次第に汚れていく様が見事。そんなところへ、キティは、コネがあるから、仮釈放してから万引き組織に入るなら出してやると言われるが、拒否する。
間も無くして、キティより実力のシャバでは副女王と異名のある女が入ってくる。ハーパーが取り入り、キティは半殺しにされる。一方、ハーパーに反抗的になっていくマリーはとうとうハーパーに襲いかかり独房へ入れられる。しかも所長が禁止している丸刈りを施される。
出てきたマリーは、廃人のようになったキティを見るにつけ、次第に決心が固まってくる。そんな時、キティはハーパーの仕打ちにたまりかねてフォークで刺し殺し、死刑になる。マリーは間も無く出所する副女王に万引き組織に入ることを約束して仮釈放を勝ち取る。
マリーが出所し、組織の車に乗り込んで映画は終わるが、次第に追い詰められていくマリーのドラマティックな展開が見どころになる作品で、まさに人間ドラマという出来栄えの一本でした。