くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「冬時間のパリ」「箱根山」

「冬時間のパリ」

典型的なフランスラブコメディで、お話はドロドロなのに、全くよどみがなくカラッと流れていく展開がいかにもフランスらしい。ただ、次々と出てくる人物名に翻弄されてしまって、前半、ちょっと眠かった。一番苦手な作品という感じでした。監督はオリビエ・アサイヤス。

 

作家のレオナールが編集者のアランのところを訪ねるところから映画始まる。新作を提案するが受け入れられず、一方アランも最近のデジタル化の波に翻弄されていた。

 

実はレオナールはアランの妻セレナと不倫関係にあり、アランもアシスタントのヴァレリーと不倫関係にあった。そんな四人の関係の中、レオナールの本は不倫を扱った内容で、ネットに疎いレオナールは、SNS上で炎上しているネット社会を知らなかった。またアランもデジタルの現実になにがしかの疑問を持っていた。

 

やがて、それぞれの不倫関係も終わりになり、時を同じくして、その不倫関係が夫婦同士にバレてしまう。アラン夫婦の別荘に招待されるレオナール夫婦、そして、レオナールは妻から妊娠したことを告げられて映画は終わる。つまり、全てうまくいきましたというエンディングである。

 

デジタル社会の痛烈なシーンも挿入して、単調なコメディにとどめない脚本は面白いがやはりフランス映画だなという空気感は抜けないので、そのコメディ感が嫌いじゃない人には面白かったろうが、私はこの手のタイプはちょっと苦手です。

 

箱根山

エピソードを詰め込みすぎた感じがあり、これという秀でた作品ではないけれど、それなりに楽しめる一本。まあ、この時代の映画はしっかりした役者がたくさんいたので安心してみていられますね。監督は川島雄三

 

箱根山で百五十年間競争心旺盛に営んできた旅館わかまつ屋と玉屋を舞台に、スカイラインがついて観光化が進む箱根の姿を織り込んで、主人公乙夫と明日子のラブストーリーを絡めていく。

 

玉屋が火事にあったり、乙夫の実父がドイツ人で、今頃引き取りたいと言ってきたり、わかまつ屋の主人が大の歴史好きで、乙夫がたまたま見つけた黒曜石に小躍りしたり、乙夫の手腕を買った観光会社の会社社長がヘッドハンティングしたりと、あれやこれやが次々と展開していきます。結局、10年の契約で勉強のため東京へ行った乙夫の手紙を明日子が読んでおるシーンで映画は終わる。

今見れば、時代背景を楽しむ面も持った作品で、川島雄三らしい豪快なシーンもありますが、普通の一本でした。