くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」

三十年ぶりかの見直し、午前十時の映画祭です。やっぱりいい映画ですね。良い映画という形容がぴったりの作品です。映画が上品です。少々、アメリカ人を悪人として割り切った描き方は偏っている気もしますが、こういう映画を見るとCGが映画をダメにしたのがはっきりわかります。バッファロー狩のシーンなど圧巻という褒め言葉がそのままという感じです。監督はケヴィン・コスナー

 

アメリカ騎兵隊のジョンが足に怪我を負って救護所にいる。足は切らないとという医師らの言葉を聞き、必死で脱出、戦線に行くが、そこでは南軍と北軍がにらみ合ったままの膠着状態だった。ジョンは単騎で、両者の間に飛び出す。自殺するつもりだったが敵の弾は当たらず、逆に味方の銃撃で敵は敗走してしまう。

 

英雄になったジョンは、赴任地を自由に選べることになり辺境のフロンティア戦線へ行く。ところが着いてみると誰もいず、仕方なく応援を待つために一人残る。案内してきた男に連絡を頼むが、彼は途中でインディアンのポーニー族に殺されてしまう。

 

ジョンのところにいつのまにかはぐれた狼がうろつくようになり、間も無くして近くで生活していたスー族が好奇心で近づいてくる。ジョンは、自分からスー族に接触しようと出かけた途中で、幼い頃にポーニー族に家族を殺され、スー族に養われて大きくなった女、拳で立つ女、が怪我をしているのを見つけ、彼女をスー族のところに連れていく。

 

これをきっかけに、次第にスー族の、鳥を蹴る男、や、髪を風になびかせる男、たちと親しくなり、徐々にスー族族と生活をともにするようになる。そしてジョンは、狼と戯れる男、という名前を与えられる。

 

拳で立つ女は、片言ながら英語が話せるので、彼女を介してスー族と親交を深めるうちに、ジョンと、拳で立つ女、は恋に落ちていく。そして、バッファロー狩や、ポーニー族との戦いの中で絆が深まっていくが、白人が迫っていた。

 

ジョンは、冬の住居へ移るスー族に伴っていく決心をするが、ここにきたときから書き留めていた日記を砦に忘れてきたので、それを取りに戻り、やってきていた騎兵隊に捕まってしまう。しかも、ジョンのいでたちはインディアンそのものだったため、罪人として本部に送られることになる。

 

何かあったとやってきた、鳥を蹴る男、たちは騎兵隊を襲いジョンを助け出す。しかし、さらなる白人の追撃を恐れたジョンは、移動することを提案。スー族は再び森の奥に去る。ジョンと拳で立つ女は夫婦となりスー族に別れを告げて森に去る。

 

間も無くして、騎兵隊の追っ手が、スー族の冬の住居まで来たがすでに誰もいなかった。去っていくジョンと、拳で立つ女、の姿で映画は終わる。

 

自然の景色も美しいし、バッファローの群のシーンや、広大に広がるアメリカの古き景色がまさに映画とはこれだと迫ってきます。白人を悪く描いてはいるものの、果たして、生きることとは、本当の幸福とは何かを静かに語っていく名作でした。

 

テリー・ギリアムドン・キホーテ

テリー・ギリアム監督が座せ値を繰り返しながら30年かけて完成させた作品。壮大な寓話という感じの作品で、主人公の幻覚とも現実ともが入り乱れる上に、過去が現代に重なってくる自由自在な時間軸の設定、さらに空間を縦横無尽に配置した演出、映像と舞台の交錯と、ここまで自らの頭の中を映像に引っ張ってくると、ついていけなくなる瞬間もありました。面白い作品ですがかなり癖がありますね。

 

主人公トビーは映画監督で、今まさにドン・キホーテの有名な風車への突撃シーンを撮ろうとしているがうまくいかない。スポンサーはせっつかせてくるし、スタッフも役者もいまひとつ乗ってこない。苦慮しながら、過去に彼が撮った「ドン・キホーテを殺した男」というDVDを見直してみようとする。そんなところへスポンサーの妻に言い寄られては、突然そのスポンサーがやってきて、逃げ回ったりする。

 

ドン・キホーテを殺した男」でドン・キホーテを演じたハビエルがまだいきていると知ったトビーは再度起用すべく接触するが、ハビエルはどこか頭がおかしくなり、自分のことをほんとうのドン・キホーテと思い込んでいた。しかも、トビーをサンチョと勘違いし、トビーを連れて冒険の旅へと幻覚の中で進み始める。

 

トビーはハビエルをもう一度起用すべく彼に従うが、いく先々で、現実か幻覚かわからないドン・キホーテの世界に踏み込んでいく。映画は、どこからが現実かわからないなんとも言えないなんでもありの展開へと進んで行く。その途上で、かつて愛したアンジェリカが過去の映画の後、奇妙なロシア人の娼婦に身を落としていたり、スポンサーであるボスがいけ好かない男で登場したり、何が何かわからなく進んでいく。

 

クライマックス、ロシア人の城の仮装パーティに呼ばれたトビーたちはそこで金持ちどもの余興をやらされ蔑まれる。トビーとアンジェリカは脱出しようとするが、ハビエルは、ここが居心地よいとためらったために捕まってしまう。そして、アンジェリカは火刑に付されることになり、トビーの部屋ではなぜかボスの妻が言い寄ってきて、ボスが飛び込んできたと思ったトビーが窓から突き落とした男はハビエルで、火刑と思ったのは舞台セットで、落ちたハビエルはそこで死んでしまう。

 

トビーは自らドン・キホーテとなりアンジェリカをサンチョに見立てて冒険の旅に出るがそこに巨人が現れ、その巨人と戦ったトビーは突然風車に絡まれて落ちてしまう。そして、トビーとアンジェリカは夕日の彼方に旅立って映画は終わる。あっけにとられるラストである。ここまでやりたいように作ろうとしたら、なかなかスポンサーもつかないわなと納得してしまう映画でした。