「クラッシュ・バイ・ナイト」
冒頭の波のシーンから怒涛のような犯罪映画かと思って見ていたが、なんのことはない浮気付きな一人の女のメロドラマでした。監督はフリッツ・ラング。
カモメと船のシーンから映画始まる。故郷の漁師町に一人の女メイが帰ってくる。地元の知人ジェリーと再会し、弟のジョーのところへやってきてジョーの恋人ペギーとも出会う。父は相変わらずの酒飲みで、やたら金をたかりにくる叔父などもいる。
間も無くしてメイはジェリーと交際するようになり、ジェリーは、友人で映写技師をしているアーロンに引き合わせる。アーロンはどちらかというと遊び人で、メイのことを気に入り、執拗に迫ってくるが、間も無くしてメイはジェリーと結婚して子供もできる。
平凡な生活に飽きてくるメイはいつの間にかアーロンと交際するようになる。やがて噂も広がり、ある時ジェリーは、メイとアーロンを問い詰め白状させる。メイはアーロンと出ていくことを決心するが、ジェリーは怒ってアーロンのところに乗り込み殺そうとすり。しかし、すんでのところでメイが駆けつける。
ジェリーは子供を連れて船に去り、それを知ったメイは自分を反省し、アーロンと別れてジェリーの元へ行く。そしてやり直す決心を伝えてハッピーエンド。
まあ、ゆるい作品ですが、こういうのもアリだなと言える映画でした。
「条理ある疑いの彼方に」
いくら死刑制度反対メッセージとはいえ、ものすごく極端で強引なストーリーだった。しかも、大体の展開が最初に読めてしまうというのも、ちょっとなあという映画でした。監督はフリッツ・ラング。
死刑執行の場面から映画は始まり。電気椅子のスイッチが入れられ、カットが変わると、死刑制度の議論をする作家のギャレットとその知人。そこへ、ギャレットの許嫁でスペンサーの娘のスーザンがやってくる。
そんな時一人の踊り子が殺される事件が発生、スーザンの父で新聞社社長のスペンサーからギャレットは呼び出される。スペンサーは、この事件の犯人を捏造して、死刑が確定した時点で真相を明らかにして、死刑制度に疑問を投げかけようとする計画だった。そして、犯人役をギャレットにしたいと提案してくる。
そしてスペンサーとギャレットは、物的証拠になるようにいろいろ画策し、踊り子の同僚にギャレットが近づく。一方で、これが捏造であることの証拠の写真をインスタントカメラで撮っていく。
間も無くして、ギャレットは逮捕され裁判が始まる。次々と出てくる物的証拠から、あとは陪審員の決定を残すまでになるが、ここで真相を明かすべくスペンサーは用意した写真を持って自宅を出るが交通事故にあい、車ごと燃えて死んでしまう。真相をあかせなくなったギャレットは、死刑が確定。しかし、弁護士に真実を話し、スーザンは元恋人のジャーナリストと協力して、なんとか無実を勝ち取ろうとする。
しかし、どうしようもなくなった時、スペンサーのある金庫から、もしもギャレットが有罪になることがあれば、この文書を明らかにすべしとした自筆の手紙が出てきて晴れてギャレットは知事の恩赦で釈放されることになる。
ところが、気を許したギャレットは、スーザンに思わず、殺された踊り子の本名を言ってしまう。それは彼が被害者と接点があったことの証拠だった。そして、実は犯人は自分であることを自白する。スーザンは元恋人に相談し、この事実を検察へ知らせようとするができない。
知事はいまにも恩赦にサインするところだった。目の前にギャレットもいた。そこに連絡が入り、知事はサインをやめ、ギャレットは再び収監されて映画は終わる。
まあ、ここまでやるかという強引さと、ストーリー設定。やりたい放題時代の一本という感じの映画でした。