くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「その男を逃すな」「その女を殺せ」

「その男を逃すな」

なんともありえない展開のお話なのですが、もうここまできたら行ってしまえ感満載のフィルムノワールでした。監督はジョン・ベリー。

 

主人公ニックが眼を覚ますところから映画が始まる。彼はこの日、相棒のアルと強盗する計画があるのだが、どうもニックは乗り気がしない。それでもことを起こすが、たまたま警官が通りかかり二人は逃げる。途中アルが警官を撃ってしまう。

 

ニックは逃げ、あるプールに飛びこんで、一人の女性ペギーと知り合う。そして、警官から逃れるためにペギーの家に入り込み、そこで家族を人質に立てこもるのだが、みんな自由に出入りさせるという、なんかよくわからないストーリー。

 

そのうち、なぜかペギーはニックに本気で惹かれていくのですが、それも、結局やたら小心者のニックをパニックにするばかりとなり、疑心暗鬼の塊の中、とうとうニックはペギーに撃たれてしまい映画は終わる。

終始、パニックで喚き散らすニックの描写が目立つ作品で、ストーリーはかなり雑な映画だった。

 

「その女を殺せ」

シンプルながらとにかくテンポがいいし面白い。二転三転するストーリー展開にどんどん引き込まれていきます。B級映画らしい適当なところも多々あるのですが、ここまで仕上げればその辺りの欠点もどうでもよくなってしまいます。監督はリチャード・フライシャー

 

マフィアの大ボスが殺され、その夫人が組織の収賄関係のリストを持っているため、証人保護にブラウン刑事と相棒が派遣されるところから映画は始まる。ニール夫人の隠れているアパートに行き、彼女を連れ出すが、出口で待ち伏せていた組織の人間にブラウン刑事の相棒が殺される。

 

とりあえず、ロサンゼルスに向かう列車にブラウン刑事とニール夫人は乗り込む。実は組織の殺し屋はニール夫人の顔を知らず、ブラウン刑事を尾行して、夫人を突き止めようとする。ブラウン刑事は巧みに列車に乗り込みニール夫人を隠す。

 

一方、ブラウン刑事は食堂車で一人の女性と知り合う。そして彼女にはトミーという息子もいた。物語は、組織の人間からニール夫人を守るブラウン刑事の姿と、周りに絡んでくる人物との物語が中心になる。

 

ブラウン刑事が、やたら食堂で知り合った女性と近しくしているので、組織の人間は彼女をニール夫人と思い始め、彼女に危険が及ぶと判断したブラウン刑事は、真相を話そうとするが、実は彼女こそニール夫人だった。そして、最初に連れてきた女は女刑事で、組織の人間に殺されてしまう。

 

こうして二転三転した物語はハッピーエンドへと向かうが、途中、列車の窓に映る人物の描写や、並行して走る車の不気味さ、疾走する列車のスピード感など、実にテンポよく展開していく演出が見事。

 

守るべきニール夫人をいとも簡単に一人にしてしまったり、個室のドアを簡単に開けてしまったりという雑なところもないわけではないが、全体の流れがスピーディなので、目を瞑ってしまう。これが娯楽映画の作り方かもしれません。本当に面白かった。