くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ペイン・アンド・グローリー」「映画 けいおん」

「ペイン・アンド・グローリー」

監督はペドロ・アルモドバルですが、今回は普通でした。赤を基調にしたモダンアートのような絵作りはいつもと同じくスタイリッシュで美しいし、書き割りされた色彩配置も癖になるくらい美しかった。物語は一人の映画監督の人生を回顧するといういわば自伝的な作品です。

 

モダンで美しいタイトルバックが終わると、女たちが川で洗濯をしている。一人の少年サルバドールがいて彼が主人公。今の歳になるまでに様々な体の病気を抱え今に至っていたことが描写される。

 

サルバドールは映画監督で、30年ほど前の作った作品「風味」がリマスターされてシネマテークで上映されるので解説してほしいと連絡が来る。サルバドールはかつて出演してくれたアルベルトを訪ねる。当時、仲違いをしたままで、最初は拒絶されるが家に入り、大人になったサルバドールの言葉にアルベルトも一緒に行くことになる。そして、サルバドールはアルベルトにヘロインを教えられる。

 

やがて上映の日になるが、サルバドールはドタキャンしアルベルトと過ごしている。そして会場へ電話をするが、そこでサルバドールはアルベルトの演技は当時重すぎたと言い始めたために喧嘩を始めてしまう。

 

一人になったサルバドールは次第にヘロインにのめり込む日々を過ごし始める。映画は彼の今と少年時代の母との思い出や、少年時代、イタリア語を教えた青年との交流のエピソードなどが綴られる。

 

サルバドールはアルベルトに謝罪し、アルベルトが舞台で演じたいといったサルバドールの短編を与えることを決心し仲直りをする。サルバドールはその舞台を見にいかなかったが、その舞台をたまたまサルバドールの友人で映画監督でもあるフェデリコが見る。そして、アルベルトに連絡先を聞いてサルバドールに会いに来る。実はサルバドールはフェデリコとかつて愛し合ったことがあった。フェデリコは今では女性と結婚し子供もいた。

 

サルバドールはヘロインを断つことを決心し、友人メリセデスを呼んで兼ねてから気になっていた喉のつまる症状の検査に付き合ってもらう。結局、ただの骨の発達しただけと分かり、また新しい作品を書くことを決心する。

 

サルバドールとメルセデスが訪ねたある画廊で一枚の絵を見つける。それはサルバドールが幼い頃に教えた青年が描いた水彩画だった。それを買い求めたサルバドールは車の中でその裏面にある懐かしい文章を読む。こうして映画は終わっていく。

 

年齢と共に衰えた主人公が前向きに変わっていくドラマという感じですが、モダンアートのような画面がやはりアルモドバル映画です。ちょっと毒が少ないと言えなくもないので物足りなくもないですが、良い映画でした。

 

「映画 けいおん

京都アニメーションの大ヒット作を、コロナ騒ぎの影響でリバイバルされたので見に行きました。アニメとして特にずば抜けた作品ではないですが、全編突っ走っていく女子高生トーク満載の青春ストーリーという感じが清々しい作品でした。監督は山田尚子

 

桜ヶ丘高校軽音部三年生の唯、澪、律、紬は間も無く卒業。そんなある日の軽音部の部室の女子高生トークから映画は幕を開ける。軽快かつノリとツッコミのトークに飛び込んできたのは二年生の梓。卒業旅行に行く話がいきなり決まり、ロンドンへ行くことに。映画は、そんなあちこちのエピソードを羅列していく展開となる。

 

三年生の四人が後輩の梓に記念の曲を作ろうとする縦軸を中心に、やがて卒業ライブから卒業式、そして部室での梓への曲プレゼントとなって映画は終わっていく。

 

テレビシリーズの映画版なので、テレビシリーズを見ている方にはそれぞれのキャラクターはくっきり分かれているのでしょうが、初めて見るとよくわからない。あの後一人になった梓はどうなるの?と思わなくもないけれど、導入部のテンポの良い会話の応酬がすぐに途切れてしまって、物語をただ追いかけていくようになってしまったのはちょっと勿体無い。

 

ただ、五人のキャラクターそれぞれに甲乙がなく、一つの主人公として絵柄をまとめた演出はちょっと面白いと思いました。まあハマるほどには行きませんでしたが、これも今の時代に映画作品なのでしょう。