「不気味なものの肌に触れる」
のちに制作される「FLOODS」につながるパイロット版的な中編で、エピソードを断片的に繋いだような作品でした。監督は濱口竜介。
二人の青年千尋と直也が演劇の稽古をして体を動かしている場面から始まる。カットが変わり、千尋が道路の真ん中で寝転がっていて傍に兄斗吾その恋人里美が乗る車が止まっている。千尋と斗吾さっきの演劇稽古のようにふざけ合って千尋が彼方に走り去る。
千尋、直也、梓の三人は高校の同級生らしく、いつも一緒に遊んでいるが、梓は直也に別れを告げる。そして、梓は千尋に近づくが、千尋は相手にせず、シュールな展開の後、梓は死体で発見される。千尋と直也が稽古しているところへ刑事がやってくる。直也は自分が梓を殺したと告白し刑事に連れていかれて映画は一旦終わる。
まあ「FLOODS」の前日譚的な色合いなので、わかりにくいところもある一本でした。
「天国はまだ遠い」
中編ですが、ちょっと面白い作品で、霊となって現れる女子高生の姿と二人の若者の会話劇的な展開を楽しめる一本でした。監督は濱口竜介。
雲の上のカットから、AVのモザイクを作ることを仕事にしている主人公雄三の部屋の場面となる。傍に女子高生の姿の三月がいるがどうやら姿は見えていない風である。三月は雄三に取り憑いていつも傍にいた。
ある時、三月の妹だという五月から連絡が入る。三月が殺され、三月の周辺の人をドキュメンタリーにまとめたいのだという。雄三は気が進まないものの五月の取材に応じることになるが、雄三は、傍に三月がいるからと五月に語る。そして五月の希望により、三月は雄三に憑依して、五月との思い出を語りはじめる。半信半疑だった五月はとうとう涙ながらに三月が憑依した雄三を抱きしめる。雲の上、三月の言葉が流れて映画は終わる。
ちょっと切ない感じの漂う短編作品で、凝縮されたストーリーが面白い一本でした。
オードリーが亡くなって30年、特に彼女のファンだったわけではないですが、彼女の出た作品はどれも大好きです。そんな彼女のドキュメンタリーですが、涙ぐんで見終わりました。監督はヘレナ・コーン。
オードリー・ヘプバーンが「ローマの休日」で大成功する場面から、物語は幼少期に戻り、「ティファニーで朝食を」「麗しのサブリナ」などの名作の数々を振り返りながら、彼女のスター人生、さらには結婚生活を語っていきます。終盤はユニセフ大使としての活躍の中で、愛することを最後の目標にして行く彼女の笑顔に引き込まれていきました。いつの間にか涙ぐんでいる自分が居ました。いいドキュメンタリーだったと思います。