くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パブリック 図書館の奇跡」

「パブリック 図書館の奇跡」

いい映画なんですけどね、それほど引き込まれるほど出来がいいと思えないし、所々にちょっと嫌なシーンがあるけど、さらっと消えてしまうし、脚本も普通の出来栄え。そんな映画でした。監督はエミリオ・エステベス

 

シンシナティにある公共図書館で働くシチュアートの姿から映画は始まる。間も無く市長選が行われるようで、地元検事局の検事と地元の牧師の一騎討ちになっているらしい。何かにつけて問題を起こすスチュアートは、図書館員を首にされかかっている。

 

連日の寒波で、この辺りのホームレスに凍死が相次ぎ、この地のシェルターも不足していて、夜を過ごす場所がない状況。昼は図書館にやって来て過ごしているのでスチュアートとも顔見知りになっている。

 

ここに地元警察のビルという刑事がいて、息子が行方不明でホームレスの中にいるのではないかと捜索していた。そんなある夜、ホームレスたち70人は図書館が閉まっても出て行かず、図書館の三階に立て篭る。スチュアートは、いつのまにかホームレスと行動を共にして立て篭る。そこへビルたちが駆けつける。

 

マスコミも駆けつけどんどんことが大きくなっていく。マスコミのキャスターはこの事件を人質をとった立てこもり事件として報道しようとするが、スチュアートの機転で、反故にされてしまう。この辺りの演出が実にあっけないし、無理やりマスコミの非道を放り込んだようなエピソードになっている。

 

さらに、市長選候補の牧師が信徒を連れて、衣服などを差し入れにやってくるが、このエピソードもわざとらしい。ここまでことが大きくなってビルは突入せざるを得なくなる。スチュアートは図書館内の防犯カメラを切る。ビルたちが突入しようとしたら突然図書館の入り口が開き、全裸になったホームレスたちとスチュアートが出てくる。そして、彼らは歌を歌い始め堂々と警察の前に出てくる。

 

そして彼らは逮捕されバスに乗せられて行って映画は終わる。スチュアートの恋人になりそうな女性や、図書館の同僚たちの存在ももっとうまく使えば映画に深みが出ると思うが生かし切れていなくて、結局気を衒ったラストシーンだけにかけた感じの作品だった。ラスト近く、誰もいない図書館のなかを、何やら社会批判的なナレーションを入れた映像が流れるのはなんともわざとらしく、映画としてはあまり好みではない一本でした。