「ウルフズ・コール」
フランス製の潜水艦映画ですが、これがなかなか面白かった。潜水艦同士の丁々発止というより、一昔前の一触即発の核戦争の恐怖を描くというオーソドックさも面白いし、主人公たちがヒーローとなっていく展開も素直に楽しめた。監督はアントナン・ボードリー。
シリア、潜入していたフランス兵士が脱出するところから映画は始まる。彼らを救助するのは潜水艦のチタン号。その潜水艦の中、並外れた聴覚を持つ音波分析官のシャンテレッドは、潜水兵を救助に向かう途中、怪しげな音をキャッチする。しかし、識別に失敗してしまう。実は、聞こえてきたのはロシア製の潜水艦だったが、誤ったため、シリアのヘリに狙われてしまう。なんとか艦長の機転で窮地を逃れ帰還。
シャンテレッドの新たな任務は艦長と艦長に昇格した副艦長の潜水艦の出動にあたり、かつての艦長の指名で新しい潜水艦への赴任だったが、ハメを外したシャンテレッドは、大麻検査に引っかかり、乗船できなかった。潜水艦二基が出動直後、異様な空気に包まれた基地を不振に思い、司令室に忍び込んだシャンテレッドは、そこで、国籍不明の潜水艦から核ミサイルがフランスに向けて発射されたことを知る。
シャンテレッドは、先日聞いた聴き慣れない音の正体が、かつてのロシア潜水艦だと分かっていたため、今回の潜水艦の音を再確認、ロシアの潜水艦だと断定する。そこで、戦闘行為と判断した軍は大統領命令で迎撃ミサイルを発射する。しかし、計算されたコースをずれた核ミサイルを迎撃できなかった。そのミサイルには核は積まれていなかったのだ。しかもロシアの退役潜水艦だと思われたものも、第三国へ売却されたものだとわかる。しかし、すでに戦闘行為の命令が下された潜水艦からは、ロシアに向けての核ミサイル発射の準備が進んでいた。
このままでは核戦争が起こってしまう。そこで、軍の大将らは、なんとか発射を阻止するため、近くを航行している、新しい艦長が乗っている潜水艦から連絡するために大将とシャンテレッドはその潜水艦へ乗り込む。しかし、発射命令を受けた潜水艦は一切の通信を拒絶するように命令されているので、いかなる連絡も妨害としてとってしまう。
新艦長が説得のため自ら水中を向かうが妨害行為と思われ魚雷が発射され、シャンテレッドの乗った潜水艦からも魚雷が発射される。核ミサイル発射の時間が迫る中、お互いの魚雷がお互いに向かってくる。そして、それぞれに命中する。核ミサイル発射の命令を受けている潜水艦の艦長は、かつての部下シャンテレッドの最後の瀕死の無線を聞き、すんでのところでミサイル発射を止めるが、潜水艦は魚雷を受けて沈んでいく。シャンテレッドの乗った潜水艦も大破して沈んでいくが、大将が自分の身と引き換えに脱出させてもらう。こうして核戦争の危機が去る。
よく考えると穴だらけの脚本ですが、手に汗握る展開は古き良き戦争映画という感じで大変面白かった。
「フライト・キャプテン 高度1万メートル、奇跡の実話」
四川航空の事故を元にしたパニック映画で、物語の展開も、人物描写もよくある展開でこれという目新しさもなかったですが、まあ、ドキドキは楽しめた。しかし、エンドクレジットで、中国の航空機は世界一安全というのはいただけませんね。監督はアンドリュー・ラウ。
これから四川航空の旅客機が、ラサに向かおうとしている。リュー機長は娘の誕生日のパーティに戻れるようにといつものように家を出る。キャビンアテンダントや、副操縦士らのたわいないおはなしの後、飛行機は離陸。ところが、突然副操縦席のフロント窓がひび割れて割れてしまう。一気に気圧を失い、気温マイナス三十度にさらされ、機体はバランスを失う。リュー機長は飛び出しそうになる副操縦士を抑えながら、機体を安定させようとする。そこへ、なんとか戻ってきたもう一人の副操縦士と三人で飛行機を安定させようとする。
しかし、不安定な状態と、乱気流に苛まれ、近くの飛行場へ向かえない。しかも、低体温と酸素マスクで正常な体調で操縦することも困難を極める。例によって客席は混乱して、喚く客や泣き出す客といういつもの展開に。そして、なんとか無事着陸して映画は終わるのだが、中国の航空機事故は世界平均の十分の一だというテロップが出てエンディング。いやいや、それじゃなくて事故の原因はどうだったかやろというツッコミを感じて映画は終わりました。もう中国映画はダメですね。