くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ヘイル、シーザー!」

kurawan2016-05-13

ヘイル、シーザー!
おとぎ話である。ミステリアスでも、人間ドラマでも、コメディでもない。その不思議な空気がジョエル&イーサン兄弟の世界観である。厳密にはコメディなのかもしれない。なんか、煙に巻かれたような映画だった。

映画会社の支配人が懺悔部屋に入っている。前回から二十四時間ほどだが懺悔をしたいという。理由は、禁煙をしているのにタバコを吸ってしまったのだという。このオープニングから、この映画は、いかにもバカバカしいことをくそまじめに描いていくのだとわかる。

スタジオでは歴史大作「ヘイル、シーザー!」の撮影が行われている。一人のエキストラが、主演のウィットロックの飲む器になにやら入れている。それを飲んだウィットロックは控え室に戻った後倒れてしまい、彼を連れ去るエキストラ二人。どうやら誘拐したようだ。

スタジオは大慌て、収拾を任された支配人には、ロッキード社から引き抜きの話があり、その交渉の真っ只中、名監督の撮影に推薦した若手俳優は大根だったり、ミュージカルスターはわがままを言ったり、右往左往する始末。誘拐されたウィットロックはというと、なにやら共産主義社の集まりに連れて行かれ、そこで意気投合してしまう。

やがて、身代金の10万ドルが支払われ、それを持って、ソ連に亡命する首謀者の若者は、金を持って潜水艦に乗り込むところへ愛犬が飛びついて、金を落としてしまう。そのまま潜水艦へ。

ウィットロックはつけてきたロデオの若手俳優と一緒にスタジオに戻る。一体なにがどうなったかということもなく元どおりにまたドタバタして映画撮影は続く。双子のジャーナリストの女や、妊娠してしまうセクシー女優など、いかにもハリウッドなら起こりそうなエピソードが皮肉たっぷりのブラックユーモアのごとく詰め込まれているてんこ盛り映画。

とはいえ、なにを秀でた場面も、特筆ほどの演出も見えなかった気がしたのは自分の感性が乏しいせいだろうか。なんかよくわからないままにエンディングする一本でした。