「私たちのハァハァ」
半分期待半分不安の映画でしたが、予想通りというか、とにかくとっても好きなロードムービーでした。青春がちりばめられ弾けている。この現代的な感覚の映像がとっても楽しいのです。監督は松居大悟です。
音楽グループクレープハイプのファンの女子高生四人が、福岡のライブの後、出待ちしていたところで東京でのライブにもおいでと誘われたのを真に受けて、本気で東京を目指す。
しかも、とりあえず、自転車でスタートするという現代的なノリでスタートするオープニングがとにかく騒がしいのですが、どんどんテンポに乗ってきます。
彼女たちが記録のために持っていくビデオカメラの映像と、本来のカメラ映像を繰り返し挿入したドキュメントタッチで展開するのですが、途中で自転車を捨て、ヒッチハイクに変更し、池松壮亮と出会うエピソードから、どんどんフィクションとしての面白さが出てきます。
さらに、ヒッチハイクも底をつき、神戸でキャバクラのバイトを一晩して、高速バスへ。ところが、東京駅から会場までのお金を計算に入れてなかったので、さらに一苦労。着いた時には、ほとんどアンコール状態。慌てて飛び込んで、舞台袖に入ってしまい、切符を手配した人には怒られる始末。
帰りの金もなく、親に電話して、帰路に着く。彼女たちのカメラが放置され、四人を捉えた映像でエンディング。このラストの処理も楽しい。
四人のキャラクターも綺麗に描き分けられていて、一番ブス系の子が彼氏がいたり、池松壮亮にキスされたりするエピソードも、映画の面白さを見せる。
手持ちカメラを振り回す映像ではあるのですが、本来のカメラ映像も交互に挿入されるので、映像に単調さもない。とにかく、現代の女子高生の生の姿がフィクションという形で描き切れている。真面目に考えれば、こんな世間知らずの四人が、ヒッチハイクをし、野宿をし、風俗で働いて、まともに済むわけがないが、そこをフィクションで割り切れる面白さがある。ほんとうに楽しい映画でした。
「ブラック・シー」
監督がケヴィン・マクドナルドなのでということで見に行ったが、なんのことはない、普通の潜水艦サスペンス、何の変哲もなかった。
映画は、主人公ロビンソンが解雇される場面から始まる。潜水艦乗りだった彼は、その経験をアピールするも、時代が変わったと無下に断られる。そんな時に、黒海の底にナチスのユーボートが沈んでいて、金塊が乗っていたという話を聞き、富豪の男の援助で、ロシアの老朽潜水艦を使って、探索へ。
当然ながら、乗組員同士のトラブルから、潜水艦は危機に陥り、実は、以前雇われていた会社の陰謀に巻き込まれたという展開から、金塊に固執するロビンソンが、最後に残った部下2人を脱出させて、自分は死んでいってエンディング。
狭い空間での話なので、自然と緊張感が出るのだが、映像演出に突出したものはないし、ストーリーの展開も面白みがあるほどではない。乗組員同士の心理ドラマも普通の描写で、まぁ、映画を見慣れている今となっては、平凡なサスペンスという出来栄えでした。