くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「宿無し犬」「駿河遊侠伝 破れ鉄火」「座頭市兇状旅」

「宿無し犬」

田宮二郎天知茂の軽妙な大阪弁のやり取りで機関銃のように展開する気楽なアクション映画。これこそプログラムピクチャースター映画の典型の一本。楽しかった。監督は田中徳三

 

母親の墓をゴルフ場に変えられ、その腹いせに四国に乗り込んだ主人公鴨井が大暴れする場面から物語は始まる。街で一人の女麻子と出会い一目惚れした鴨井はこの女を手に入れるために奔走する中で、ゴルフ場を作ったヤクザ組織の抗争の中に放り込まれていく。

 

ヤクザ組織の悪事を追う刑事の木村が執拗に鴨井に絡んできて、めんどくさがりながらも鴨井と木村はつかず離れずクライマックスのヤクザものと鴨井の銃撃戦へと流れていく。

 

なんの中身もないし、正直だらだらした話ですが、スター田宮二郎を見るだけで当時は大ヒットしたのでしょう。犬シリーズ九本の第一作目です。楽しかった。

 

駿河遊侠伝 破れ鉄火」

いわゆる次郎長伝で、駿河遊侠伝シリーズ第二作。たわいのない切ったはったの末の物語。これもまた映画黄金期の一本。監督は田中徳三

 

若き次郎長が、いく先々で様々な人と出会い、恩義のある親分のために人肌脱いでいく人情ドラマ。次第に子分が増えていくという展開はかなり強引ながら、次郎長を知る者にはたまらない展開かもしれない。

 

座頭市兇状旅」

これは面白かった。シリーズものは大体ワンパターンのお話を適当に作ったものが多いですが、この作品は物語がまとまっているし、画面作りも丁寧に構図を取って演出され、クライマックスの何十人もの敵との大立ち回りへの流れもワクワクする上に、ダメ押しの浪人とに対決も楽しい。娯楽作品として一級品に仕上がっていると思います。監督は田中徳三

 

旅を続ける座頭市が、相撲大会で大勝ちするコミカルなファーストシーンから、見ず知らずの男に襲われ、その男を斬ってしまう導入部、そして、斬った男の母を見つけるところから、ヤクザものの縄張り争いに巻き込まれる一方で、過去作品でのマドンナ的女の登場と、座頭市を恨む親分らの陰謀も絡み、クライマックス、大人数との見事な立ち回りシーンへ続く。

 

見応え十分なクライマックスとその後の浪人との一騎打ちとサービス満点の絵作りが最高の一本。高田美和がやはり可愛らしい。楽しい娯楽時代劇でした。