「リラの門」
なるほど、名作。しんみりとした人情喜劇の風ですが、辛辣なラストと、切なくなるような展開がとっても素敵。さらに、画面の構図が見事で、街並みの建物や路地と人の配置など本当に美しい。監督はルネ・クレール。
主人公のジュジュと芸術家と呼ばれるギター弾きの姿からさりげなく映画は始まる。ジュジュは近くのバーの娘マリアに恋している。
そんな時、近所で凶悪犯が逃げてきたという事件が起こる。そして、芸術家の家に犯人ピエールが逃げ込んでくる。
ジュジュたちも、コソ泥のようなことをして暮らしている手前、その男を地下室に匿うことになる。こうして物語は始まる。
地下室の犯人が体操したり、ラジオを聞いたり好き勝手をし、最初こそコソコソしていたが、次第に大胆に外を出歩くようになる。
そんな時、ジュジュたちの住まいを怪しんだマリアはジュジュたちが留守の時に勝手に入り犯人と遭遇。ところがピエールはマリアにキスをする。マリアはすっかりピエールの虜になっていく。
やがて、パスポートが手に入り、犯人はこの家を出て高飛びすることになり、マリアを誘うが、マリアの父は娘を外出させない。
ジュジュはマリアに頼まれてピエールとの待ち合わせ場所にマリアが頼まれていた金を届けるが、なんとピエールはマリアを利用するだけだったのを知る。
そしてもみ合ううちにピエールを殺したジュジュは金を取り戻し家に戻る。芸術家と相談したジュジュは金をマリアに返すことにし、詳しいことは言わないことに決める。
映画はここで夜の街角を捉えて終わる。このエンディングも素晴らしいです。
名作と呼ばれるだけの完成度の高い映画ですが、それより、心に染みるような感動を味わいました。
「恋の片道切符」
まあ、二本立ての一本という感じの音楽映画。可もなく不可もない一本でした。監督は篠田正浩。
サックス奏者の主人公白井が職探ししている場面に始まり、芸能事務所に誘われる。そんな時、1人の女性と知り合い、さらに事務所の売れっ子歌手との三角関係やら、事務所の裏取引らや友達のやくざ者の拳銃やらが絡んでのラストシーン。
それぞれの人物の心の物語は上手く描けていないので、どの行動もとってつけたように見えます。
まあ、気楽に見る娯楽映画でした。
「昭和残俠伝」
ご存知高倉健の出世作にして、唐獅子牡丹で有名な任侠映画。シリーズ全て見てますが40年ぶりくらいに再見。監督は佐伯清。
今さらなので物語は書きませんが、戦後すぐの闇市場の場面に始まり、市場の利権争いで、振興ヤクザと任侠を重んじる主人公らヤクザとの義理と人情の物語が展開。
クライマックスの殴り込みシーンは流石にワクワクします。