くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「Swallow スワロウ」「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

「Swallowスワロウ」

なかなかのクオリティの映画なのですが、始まりからラストまでストレスに押し潰されそうになる息苦しい映画だった。異食症という、異物を口に入れる病をきっかけに展開するスリラーサスペンスですが、ラストはしっかり人間ドラマに仕上げたのは良い。監督はカーロ・ミラベラ=デイビス

 

海辺の大邸宅に住む主人公ハンターがプールのゴミ掃除をしているシーンから映画は始まる。夫のリッチの父親は実業家で相当なセレブである。ハンターはそんな家族の中に入り、さまざまなところでストレスを感じている。そんな彼女の気持ちを汲まず、リッチも両親も仕事や自分たちのことばかり考えている。間も無くしてハンターは妊娠していることがわかるが、ますます両親からのストレスを感じ始める。

 

そんな時、一人でいたハンターは思わずビー玉を飲み込む。しかしそれは彼女のストレス解放につながる。味を占めた彼女は次々と異物を口にするようになるが、婦人科でエコー撮影した時体内の遺物が見つかり、リッチらは彼女にシリア出身の看護師を監視につけることにすする。最初は仕事できていた看護師だが、ハンターの苦しみを理解し始める。

 

リッチは友人たちに妻の異食症を話したり無神経な行動を取る。心療内科に通うようになるが、ハンターはこれまで内緒にしていたことを告白する。それは、ハンターの母ジルは若い時レイプされ、その時の子供が自分だということだった。しかも医師はそのことをリッチに話してしまう。それを知ったハンターはキッチンのドライバーを飲み込み救急搬送される。

 

治療が終わり戻ったハンターにリッチらは施設に入ることを強要、その出発の時、見かねた看護師は彼女を逃す。ハンターは実家の母を頼るが拒否され、かつて彼女の母をレイプしたアーウィンという男を訪ねる。そして自分がその時の娘であると告白して、中絶の薬を手に入れ、公衆トイレで薬を飲み中絶する。

 

晴れやかになった彼女は新たな旅立ちに向かって出ていって映画は終わる。前半の異物を飲み込むシーンは息苦しいほどだが、そんな彼女に迫るリッチたちの態度がさらに息苦しい。しかし映像演出はなかなかの出来栄えだし、映画としては良い作品だったと思います。

 

「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

2016年のイタリア映画の同名作品のリメイクですが、リメイクながらよく焼き直されていたと思います。脚本に岡田惠和を採用したのは正解だった感じですが、オリジナルとほぼ変更もない展開は少し芸がないと言えば芸がない。でもオリジナルを見た時と同じレベルに感動しました。監督は光野道夫。

 

かつて大型台風で生死の危険を乗り越えた八人の男女は、年に一度集まるという企画を毎年していた。この年は月蝕、それぞれのメンバーが簡単に紹介され、一堂に集まる。その中で一番最近結婚した向井夫婦、妻の杏は夫婦生活に些細な疑問を抱いていた。彼女はいかにも夫婦円満な園山夫婦や六甲夫婦の姿を見て、特に隠し事もないならスマホをみんなの前で披露しようというゲームを提案する。そして全員がスマホをテーブルに置く。

 

園山零士が独身の三平と機種が同じであることをいいことに携帯を交換する定案をする。そしてオリジナル版とほぼ同じ展開が始まる。

零士がゲイだと疑われる話を発端に、それぞれがそれぞれに些細な遊びをしていたことが暴露され、杏の夫向井幸治が、六甲絵里と実は浮気していたというクライマックス、そして一気に冷めた場の雰囲気が、次第に本来の集まっている理由を再確認するところから、生きていることの素晴らしさを改めて思い出し、ラストの感動まで引っ張っていく。

 

細かいカット編集もオリジナルに近いが、流石に芸達者が集まっているので、台詞の間の取り方が抜群にうまいので、テンポよく笑いと涙が生み出されるのはなかなかです。期待せずに見に行ったのですが、これはこれで拾い物だった気がします。