くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サンドラの小さな家」「ホムンクルス」

「サンドラの小さな家」

もっとほのぼのした感動物語かと思っていたらDVの話で、襲いかかる困難を克服していく強いお母さんのお話でした。映画の作りは普通で、例によってDV旦那の妨害を横軸に、自立するために家を建てる妻の健気な姿を縦軸に描くストーリー展開。まあ退屈はしませんでしたが、普通の映画でした。監督はフィリダ・ロイド

 

エマとモリーの幼い娘二人と楽しそうに遊ぶ母サンドラの場面から映画が始まる。そこへいかにも優しそうな夫ガリーが帰ってくる。そして、サンドラに話があるからと娘を外へ出そうとするが、サンドラは外に行く姉エマに「ブラックウィドウ」と何やら暗号を授ける。直後、サンドラは夫ガリーのDVに会う。エマは必死で近くの店に駆け込み警察に連絡してとかいたミニハウスのおもちゃの蓋を開ける。庭のチャイルドハウスではモリーが痛めつけられる母をじっと見ていた。

 

夫から離れ、娘二人と市が準備したホテルの一室へ移り、サンドラは母が勤めていた家の清掃婦とカフェの店員を掛け持ちながら生計を立てる。しかし公営住宅は長い順番待ちであてのならない。そんな時、娘との会話から自分で家を建てることを思いつき、ネットで設計図を手に入れ土地探しを始める。そこへ勤め先の主人ペギーが自分の家の庭を提供すると言ってくれ、さらにホームセンターで知り合った建設業者エイドの協力も得て建築を始める。

 

ところが、夫が子供と過ごす数少ない日、モリーが行かないと言い出す。母が痛めつけられているのを見たモリーは父が怖かった。一方、たまたま建築現場でモリーが怪我をしてしまう。娘の一人と会えない夫のガリーは裁判を起こしサンドラから子供を奪おうとする。しかし、サンドラの必死の訴えの甲斐があり、当面現状通りという判決が降りる。まもなくして家は完成、サンドラらはペギーの本宅で完成パーティを開いていた。そこへ娘が「ブラックウィドウ」と叫んで飛び込んでくる。慌てて飛び出したサンドラの前に、燃え盛る新築の家が見えた。ガリーが放火したのだ。

 

落ち込んで寝込んでしまうサンドラの前に義母がやってくる。息子は逮捕され、もうサンドラは自由だからと話に来たのだ。サンドラはようやくベッドを出て庭に出てみると子供たちがスコップで土をすくっている姿を見る。サンドラはもう一度前に踏み出すべく娘たちと土を救い始めて映画は終わる。

 

物語は普通だし、映像も秀でたものはなく、今さらDV映画という感じの一本ですが幼い子供たちが可愛いので最後まで見ることができました。

 

ホムンクルス

シュールな話なのですが、グロテスクなホラーにしか見えないのは意図なのかミスなのか。原作がそういうテイストなのかもしれませんがB級ホラーの感じだった。しかもラストの畳み掛けが少々しつこくて、無性にだらだら見えたのは残念。監督は清水崇

 

頭蓋骨に穴を開けるシーンの後タイトル。車の中でホームレス生活をする名越の姿に画面が変わる。彼は記憶をなくしているようだが、ブラックのVIPクレジットカードを持っていて金の不自由はない。しかし、自分が何者か分からないまま車の中での生活を続けていた。ある夜、伊藤という怪しい男が窓ガラスを叩く。しつこい伊藤に名越がついていくと、彼の部屋に案内される。彼は医師で、七日間の契約で実験台になってほしいという。頭蓋骨の正面に穴を開けて、脳を解放し、人間が持つ潜在意識を解放してみたいというのだ。自分は植物人間に近いと思っていた名越はその実験を受けてみる。

 

ところが、その手術の後、彼が左目だけで人を見ると、人が異様な形に見える。それもひとによってさまざまに違うのだ。そして、たまたまヤクザの親分と関わった名越は、その親分がロボットの形に見える。そして、その親分に呼ばれて行って、そこで親分が子供時代のトラウマに苦しんでいるのを見つける。それで親分は解放された。

 

名越は伊藤に言われるままに、風俗店に行き、そこで一人の女子高生を認める。伊藤がその女子高生の携帯を手に入れる。名越はその携帯を取り戻しに来た女子高生の姿を左目で見ると、まるで砂の塊のようだった。そして彼女の母へのトラウマも解放してやる。名越は穴を塞がせようと伊藤に迫りに行った病院で一人の顔の見えない女性と知り合う。名越が車の中にあるかつての名刺の数々の中から、奈々美だと知る。

 

徐々に記憶が戻ってきた名越は奈々美に迫るが、その女性も記憶をなくしていて、自分が奈々美だと知り、名越と一夜を共にする。奈々美は名越のかつての恋人だった。しかし、奈々美の額にも穴が開けられていた。伊藤は、その人物は実はみすずという女性だという。

 

みすずは恋人と車の中にいた。言い争いになり車を飛び出そうとするみすずをその恋人が止めにかかるが、車の前に名越に追いかけられてきた奈々美が飛び出してきて、車は奈々美を撥ね、みすずも大怪我をしてしまう。みすずの乗った車は奈々美を轢き殺していた。

 

全ての記憶が戻るみすずを名越は抱きしめる。この終盤の真相の描写がそれまでの丁寧な描写から一転して雑にこなされ、さらにこの後、名越は伊藤のトラウマを見て詰め寄ってからの展開が実にだらけてくる。

 

伊藤も自分の額に穴を開けてしまい、名越とみすずは車に乗って彼方に走り去って映画は終わる。どうもいまひとつ力の入っていない感じの演出で、特に終盤がかなり雑になっているのはもったいない。まあこういうB級テイストを狙ったのかもしれないが、それにしても、ちょっと荒いなという感じに思いました。