くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」「ジェントルメン」「ローグ」

「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」

よくある話で、それほど期待していなかったのですが、意外に素敵なファンタジーラブストーリーでした。映画全体が一つのメロディになって流れていく心地よさに酔いしれてしまいます。脇役をもうちょっと効果的に使えばもっといい映画になったかもしれませんが、ヒロインのオリヴィアを演じたジョセフィーヌ・ジャピがとってもキュートで素敵だったので映画が上品に仕上がりました。監督はユーゴ・ジェラン

 

映画が始まると、雪が深々と降るセーヌ河畔、何やらボディスーツの男が追われている。いかにもSF的な映像から、目を覚ます一人の高校生ラファエル。彼はSF小説を書いていた。彼はSF作家を目指している。放課後帰ろうとすると校舎の屋根裏部屋からピアノの音が聞こえてきて、行ってみるとそこには一人の女性オリヴィアがいた。ラファエルはオリヴィアに一目惚れし、警備員に見つかったので学校から逃げるが、近くのベンチで二人とも気を失う。その偶然から二人は一気に恋に落ちていく。

 

タイトルが流れ音楽が奏でる中、二人の恋の物語が描かれていき、やがて結婚、ラファエルはSF作家として成功したが、オリヴィアは普通のピアニストとなって二人の生活が描かれてタイトルが終わる。このオープニングが素晴らしい。

 

多忙を極めるラファエルはいつの間にかオリヴィアのことを顧みなくなる。ラファエルはベストセラーシリーズのラストを書き上げ、ヒロインの命をたつというエンディングにする。その最後を描いた夜、二人は大喧嘩し、ラファエルはひとりバーで飲んで深夜に戻る。夜が明けると二日酔いで頭が痛いと疼くラファエルは迎えにきた親友のフェリックスのバイクで講演予定の中学校へ。ところが何かがおかしい。道を走るバスにはオリヴィアの写真が貼られていて、ピアニストとして大成功したかの宣伝。ラファエルは、出待ちでオリヴィアに会うが、オリヴィアは彼のことを知らなかった。ラファエルは別世界に飛ばされたのだ。

 

家に帰り、自分やオリヴィアのことを調べると自分はしがない中学教師で、オリヴィアは有名なピアニストだとわかる。ラファエルは親友のフェリックスに相談するが信じてもらえない。しかし、上手だった卓球が下手くそになっていることで、半信半疑にラファエルのことを信じたフェリックスは、もう一度オリヴィアと恋に落ちたら戻れるのではないかと考える。そして、自伝作家のふりをしてオリヴィアに近づいたラファエルだが、彼女にはマルクという恋人がいた。

 

ラファエルは、オリヴィアの祖母の施設に行く。祖母はラファエルのことを知ってるかのように振る舞ったが、本心からはわからない。そこへオリヴィアがやってきて、ラファエルは自伝を書かないかと誘って、再度オリヴィアと親しくなろうとする。オリヴィアは、よくわからないままに、次第にラファエルに惹かれ始め、自分の別荘に招待し二人きりの週末を過ごす。

 

二人は愛し合い、翌朝、ラファエルは元に戻ったのではないかと目覚めるもなんの変化もなかった。意気消沈し、フェリックスに当たったりするが、フェリックスは、密かに想いを抱いている女性がいて、投函していないたくさんのラブレターを持っていた。ラファエルは、オリヴィアの祖母の元を訪れ、祖母の言葉に決意し、さらに中学校の授業で生徒の一言にヒントをもらったラファエルは、以前書いた小説のラストがヒロインの死で終わらせたのが原因だと思い、ラストを書き直して、オリヴィアに読ませるべくコンサート会場へいく。しかし時を同じくして、オリヴィアはマルクからプロポーズされていた。

 

オリヴィアが、その原稿を読み始めると、深々と雪が降り始める。オリヴィアの祖母の席で演奏を聞くラファエルだが、初めて会ったときの曲が流れてくるとたまらなくなり、オリヴィアに楽屋へ行き、原稿を回収し、オリヴィアと会ったことは幸せだったという言葉を残して去る。演奏の終わったオリヴィアは本当に愛しているのはラファエルだと気づき、ラファエルのところに駆けつけて映画は終わる。

 

元の世界に戻るというよくあるラストではなく、今の二人として再出発するラストの処理がとってもいいし、深々と降る雪を効果的に使ったり、音楽センスがいいのか、ピアノ曲とポピュラー曲を巧みに組み合わせた映像のリズムがとっても心地いい。脇役をもう少し効果的に使えばもっと素敵になった気がするけれど、全体がメロディを使って一つに綺麗にまとまった仕上がりが、本当にファンタジックに仕上がった気がします。傑作とは行かないまでも、ちょっとした佳作という感じの素敵な映画でした。

 

「ジェントルメン」

これは久しぶりのヒット、面白かった。相手の裏をかいてはかかれるを繰り返し二転三転のストーリー展開は、少々やり過ぎの気もあるものの、どんどん引き込まれていく上に、人物関係も綺麗に整理されているのがいい。全体がふざけた空気感満載のコミカルで軽い展開、ちょっとグロい場面もあるものの、笑い飛ばしていく勢いも良い。楽しい映画でした。監督はガイ・リッチー

 

あるバーに一人の男が入ってくる。ボスと声をかけるマスター。テーブルに座り妻に電話をするこの男の背後に男の影、次の瞬間銃声と共にグラスが赤く染まる。こうして映画は始まる。ロンドン下町の大麻薬王マイケル・ミッキーが引退するという噂が流れ、町中の悪達が暗躍し始める。

 

カットが変わると東洋人ドライ・アイが、何やら交渉をしている。農場を譲れとマイケルに交渉しているようである。一方、マイケルの大麻の農場に押し入る若者たちの姿、まんまと盗み出そうとすると、次々と農場の厳つい男が現れてくる。とあるドラッグストアにやってきたコーチの前にチンピラらしい若者がやってくる。しかしコーチに一瞬でやられてしまう。

 

ローラという少女が失踪、どうやら素行の悪い若者らと一緒にいるらしいから救い出してほしいという依頼があり、それを引き受けたのが麻薬王のマイケル。彼は右腕のレイにローラを救い出すように依頼する。レイはローラを救い出しにいき、その時一人の若者を屋上から落下させてしまう。その落下した死体をスマホで撮りまくる若者たちを追いかけてスマホを奪うレイたちのドタバタ劇。こうして、舞台設定の紹介が終わる。

 

そんな時、フレッチャーという男がレイの元を訪れ、金を要求している。レイの悪事、マイケルの悪事の証拠があるという。物語は、フレッチャーの語る物語を検証しながら展開していく。フレッチャーは、レイらの悪事を写真に収め、動画を撮り、マイケルの悪事も手に入れ、新聞社のビッグ・デイブと連んで金を手に入れるつもりだった。一方マイケルは、ビッグ・デイブらの企みを逆に調査し、彼を拉致して、フレッチャーからの資料を公表されないようにしてしまう。あっちからかと思えばこっちからと次々と話が表裏ひっくり返る。さらに、場面場面にふざけたようなシーンが挿入され、その笑い飛ばす映像演出も秀逸。

 

ローラを救出するときに落下して死んだ青年の父親が元KGBの富豪で、彼の力でマイケルらは命を狙われているとフレッチャーは告げる。冒頭で、ボスつまりマイケルを撃とうとしたのがロシア人の殺し屋だったが、実は背後からレイが撃ち殺していたのだ。マイケルは、フレッチャーの企みはすでにわかっていた。さらにマイケルの自宅にやってきたロシア人らはコーチによってやられてしまう。そのどさくさに形成が危ういと思ったフレッチャーはマイケルの元を脱出、これまでの話を映画にしたいとプロデューサーに持ち込んだ後、国外に逃げようとするが、乗った車を運転するにはレイだった。こうして、マイケルの事業が無事で、妻も助かり映画は終わっていく。

 

と、こんな話だったと思うが、二転三転、裏のかきあいというどんでん返しの連続なので、気を抜くと肝心の伏線を見逃しているかも知れず、勘違いもあるかもしれませんが、なかなか面白かった。

 

「ローグ」

典型的なB級低予算低レベルのアクション映画でした。メッセージもあるようですが、本編内に全く見えないし、展開の中のエピソードはどれも雑な上に、辻褄も合わない適当さには流石に終盤辟易としてしまいましたが、寝ることはなかったのでいいとしましょう。監督はマイケル・J・バセット。

 

アフリカのある場所、密猟でライオンを飼育し、その骨や毛皮を生産しているいかにもな建物から映画は幕を開ける。ところが一頭のライオンを殺し損なったことから、そこの人間が皆殺しになっていく。そしてカットが変わる。知事の娘が人身売買の組織に拉致された、彼女を助けるために傭兵集団が派遣されて、これから敵のアジトに突入という場面。リーダーのサムのもとに一斉に突入し、知事の娘アリシアほか拉致された娘たちを助けて脱出するが。敵の追跡が予想以上に多く、迎えのヘリも撃ち落とされ、なんとか崖から飛び降りてその場は逃げる。なんとも適当な作戦である。

 

そして逃げ込んだのが、冒頭のライオンを飼育している建物。迎えのヘリを要請するべく無線を準備するが、次々とライオンに襲われ始める。そんなサムらに人身売買に敵が迫る。と、取ってつけたような展開がダラダラ始まる。

 

こうして、後はひたすら銃撃戦となるのだが、せっかく隠れていたアリシアらが、戦わないといけないと、なんの計画もなく外に飛び出してサムらの足手纏いになったり、傭兵のメンバーにマサイ族がいて、突然家族の仇の敵と一対一の決闘をしたりと、とにかく脚本が実にその場限り。

 

まあ、ラストは、襲ってきていたライオンは子供を守りたかっただけで、子ライオンを連れてあっさり引き上げ、迎えのヘリが来てハッピーエンド。呆れてしまうラストだが、途中の展開もあまりにも低レベルなのにはまいってしまう。普通以下の仕上がりのアクション映画でした。最後にテロップで、ライオン飼育の現場が語られて終わりました。なんなのこれは?という一本でした。