くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「21ブリッジ」「ザ・スイッチ」「砕け散るところを見せてあげる」

「21ブリッジ」

これは面白かった。スピーディな展開でぐいぐいと引っ張っていくうちに背後に埋め込まれた真実が次第に見えてくる構成の見事さ、そして一つ一つの動きをきっちり演出したリアリティ、時間と場所を制限した緊迫感あふれる脚本、ひさしぶりに警察アクションの傑作に出会いました。監督はブライアン・カーク。

 

一人の警官の葬儀の場面から映画は幕を開ける。その場に一人の少年アンドレがいた。そして19年の時が流れる。アンドレは警官となったものの、犯人をこれまで八人撃ち殺してきたことで内務委員会の諮問を受けている。そんな頃、マイケルとレイの二人の男がとある店に侵入する。その店にあるコカインを強奪するためだが、情報では30キロほどのはずが、入ってみると300キロものコカインを発見、冷静なマイケルは何かがおかしいと感じるが、今更引き下がれずにとりあえず50キロを奪う。ところが突然、警官数人が普通に訪ねてくる。そしてマイケルらと銃撃戦になる。応援に来た警官とも銃撃戦を交えて警官8人を殺しマイケルらは逃亡。コカインを金に変えるために売人の元締めを訪ねる。そこで手にした百万ドルを資金洗浄するための人物を紹介される。

 

一方ニューヨーク市警85分署では、警官を殺されたことで、総動員で犯人を追い始める。アンドレは麻薬捜査官のフランキーと組んで犯人を追う。犯人がマンハッタン島へ逃げ込んでいることを突き止めたアンドレは21ある橋を全て閉鎖させ、犯人をマンハッタン島へ閉じ込め追い詰めていく。マイケルらは資金洗浄してもらうため、その人物を尋ねるが、突然警官が踏み込んできて、その資金洗浄人を殺す。資金洗浄人は死ぬ間際マイケルにUSBを託す。

 

次々と警官の先走りに憤りながらアンドレたちはマイケルらを追い詰めていく。このスピード感がたまらないほど面白い。しかし、なぜ警官が総動員してくるのかどこか違和感を持っていた。そして、マイケルらを追いつめた時、アンドレは、謎のUSBの存在を知る。しかも、300キロあったコカインも謎だった。アンドレはマイケルらを生きたまま逮捕して、真相を明らかにしようとするが、レイは撃ち殺されてしまう。アンドレは必死でマイケルを追いかけ、地下鉄内で追い詰め、逮捕寸前、フランキーがマイケルを撃ってしまう。アンドレは死ぬ間際のマイケルからUSBを手に入れる。そこには85分署の警官の汚職の資料が入っていた。

 

アンドレは85分署の所長マッケナを追い埋めていくが、他の警官が襲ってくる。85分署では署長以下がコカインをパトカーで運び、その金庫として、マイケルらが襲った店に隠していたのだ。マッケナらはコカインで手にした金で生活を潤わせていた。アンドレは、襲ってきた警官らを倒すが、USBの内容は既に公表していた。フランキーも仲間だったが、アンドレはフランキーを説得し、無事逮捕して映画は終わる。

 

とにかく、中盤までの展開のスピーディさは見事というほかないし、どこか違和感を覚え始める後半から真相へ向かうラストも見事。警官らの仕草や動き一つ一つの動作も実にリアルに演出されている。久しぶりに傑作を見た感じです。

 

「ザ・スイッチ」

普通のB級ホラー、驚くほどの展開や映像もないけれど、退屈せずに面白かった。もうちょっとテンポの緩急がうまくできてればもっと面白かったかもしれないけど、十分なエンタメ映画でした。監督はクリストファー・ランドン。

 

11日の水曜日に夜、ある家の庭で二組のカップルが喋っている。その家の主人はなぜかホラーグッズのコレクターらしく、ラ・ドーラの短剣というのが保管してある。という伏線から映画は始まる。そこへ突然現れた覆面の殺人鬼ブッチャーが4人を惨殺する。ラ・ドーラの短剣が彼を呼び、ブッチャーは探検を持って逃げる。

 

12日の木曜日、殺人鬼が徘徊しているという情報が流れる中、何をやっても鈍臭い女子高生のミリーは、大学進学の内心のためにぬいぐるみを着てチアリーダー部に所属していた。この日も部活を終えたが、迎えにくるはずの母は飲んだくれて来ない。姉で警官のシャーリーンが迎えにいく。待っているミリーの前にブッチャーが現れる。そしてラ・ドーラの短剣でミリーを刺すが、シャーリーンが駆けつけブッチャーは逃げる。

 

ところが13日の金曜日に日付が変わるとなんとブッチャーとミリーの体が入れ替わってしまう。しかも、ミリーの体になった殺人鬼はミリーに近づく奴らを惨殺していく。ブッチャーの体になったミリーはなんとか親友に自分が入れ替わったことを証明して、ラ・ドーラの短剣の秘密を見つける。なんと二十四時間以内にもう一度刺さないと元に戻れない。

 

警察署に保管された短剣を取り戻す作戦とミリーの体になったブッチャーを再度刺すための作戦を実行していくミリーたちのドタバタ劇が後半の見せ場になる。そして、なんとか短剣を手に入れ、ブッチャーを拉致したが、すんでのところでブッチャーが逃亡、なんとかミリーたちが追いついてミリーはブッチャーに短剣を突き刺し入れ替わると同時にシャーリーンの銃弾がブッチャーを捉える。

 

しかしブッチャーは瀕死の重傷の中救急車に乗せられていく。自宅に戻ったミリーだが、なんとブッチャーは生きていて、ミリーたち家族に迫ってくる。シャーリーンや、飲んだくれのミリーの母らとブッチャーが格闘の末、ついにブッチャーを倒して映画は終わっていく。

 

まあ、よくある展開のホラーという感じで、名作「ハロウイン」を模したり、「13日の金曜日」を模したりと、好き放題な作りが楽しい一本。これという秀でたものはないがまあ面白かった。入れ替わりと元に戻るところにもうちょっと工夫があればもっと良かった気もします。

 

「砕け散るところを見せてあげる」

何もかもセリフで語ろうとするだらだらした脚本と、意味のない長回し、くどくどする演技演出で、しかも後半妙にシュールなのだが、結局何を描こうとしたのか全く見えない映画だった。ストーリーの緩急も構成もうまくまとまっていない。せっかく芸達者を揃えたのに宝の持ち腐れ映画だった。監督はSABU

 

一人の少年が自室でヒーローの真似事をしていて母に見つかる場面から映画は始まる。そしてとある高校。一人の男子生徒三年の濱田は、遅刻寸前で学校へ飛び込んでくる。既に校内集会が開かれていて、とりあえず最後尾、一年生の後ろに立つ。ところが一年生の一人の生徒がいじめられている様子を目撃、かねてからヒーローになることを母に教えられていた濱田はその女子生徒を庇おうとするが、逆ギレされてしまう。それでもその女子生徒蔵本のことが気になり、何かにつけ注視するようになる濱田は一年生から噂にされていく。

 

ある時、帰り道で女子トイレが使えなくなっているという噂を、同じクラスの女生徒尾崎の妹から聞き、気になった濱田が女子トイレを見に行くと、用具入れに監禁され、びしょ濡れになっている蔵本を見つける。濱田は彼女を助け出し、服を乾かしてやって家に返してやる。

 

それから濱田は毎朝、蔵本を待って学校へ行くようになる。ある時、学校帰りに濱本の家に寄った蔵本は帰りが遅くなり濱田の母に車で送ってもらう。蔵本の父は蔵本が7時までに帰ってこないと心配するからだという。ところがたまたま前に蔵本の父の車を見つける。濱本も濱本の母も蔵本の父に挨拶をするがどこか奇妙な感じがする。それから蔵本が学校に来なくなる。

 

濱本が蔵本の家に行っても、誰もいない風で、心配していると、濱本の家に夜蔵本がやってくる。そして危険が迫っているから逃げろというが、どうもこの辺りの緊迫感が全然見えない。蔵本は父の暴力であざだらけだった。蔵本の祖母は父に殺されトランクに入れられ沼に沈められたのだという。その話を聞いた濱本は蔵本と沼に行く。て、なんで先に沼に行くの?この展開がよくわからないほどにチグハグである。

 

一方、蔵本の父は濱本の母が勤める病院の前で待ち伏せしていたが戻ってくる。これもまたチグハグ。沼では濱本が引き上げたトランクは蔵本の母のもので、母も殺されたらしいとわかる。ここまで来るともうドタバタ劇である。二人が蔵本の家に行くと、蔵本の父の車が止まっていて、濱本らはその父に襲われ瀕死の重傷を負う。蔵本の父は濱本らもろとも焼き殺そうとするが、蔵本が意識を取り戻し、父を殴り殺す。

 

濱本は病院で目を覚まし、蔵本はどうなったのかわからないまま、シュールな展開へ。やがて濱本は大人になり結婚し、子供ができる。何故か、濱本の父と同じように濁流に飲まれる人を助け出そうとして流されてしまう。冒頭の少年は濱本の息子だった。ヒーローはUFOを撃ち落とさないといけないみたいなセリフが何度も出てきて、ラストはUFOが落下していく映像などもある。で、結局なんなのだというかラストシーンで、映像自体が全然テンポに乗ってこない上に、何もかもがだらだらしている。最悪に映画だった。