「六つの教訓話」シリーズの第4作。淡々と流れるストーリー、男を弄ぶヒロイン、彼女に翻弄される主人公、ネストール・アルメンドロスの美しいカメラ、まさにエリック・ロメールの世界。ラストの紋切り型のエンディングに、なんかいい映画だったと感じいる自分を発見する作品でした。
海岸を水着姿のアイデが歩いている場面、カットが変わり、友人ダニエルと談笑する主人公アドリアンのカットから映画は本編へ向かう。骨董品の買い付けにサン・トロペにやってきた主人公のアドリアン。友人のダニエルと会い、開業資金を出す予定のサムと会うためだ。そこで、一人の若いアイデというまだあどけないほどの女性と出会う。ダニエルによれば、彼女は次々と男を引き入れては関係を繰り返すいわば「コレクションする女」だという。アドリアンが着いた日も男性とSEXしている最中だった。
次々と男性を変えながら遊ぶのはよくないとアドリアンはアイデを説教する反面、どこか自分も彼女に惹かれるものを感じる。映画は、アイデとアドリアン、ダニエルらのひとときのアバンチュールを繰り返し繰り返し描いていく。特に大きな物語のうねりもなく、延々とセリフと一人語りで時間が流れていく。
アドリアンはアイデとドライブをしての帰り、アイデに声をかける男女の相手をアイデがするのに車を降りた時、後ろからのクラクションを避けるため車を発進させたアドリアンが、あえてアイデを拾うことなくそのまま別荘まで戻り、何もかもから解放されて、本当の目的だった無に帰るひとときを感じて、帰路の飛行機を予約するカットでエンディングとなる。
何ということもないが、まさにエリック・ロメールの世界を堪能できる秀作だった気がします。途中の淡々とした展開と唐突なラストの処理も上手い。いい映画でした。
「パリのナジャ」
エリック・ロメール監督の短編。パリに留学している女子大生のナジャの日常を切り取った映像です。