くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クー!キン・ザ・ザ」「リオの男」

「クー!キン・ザ・ザ」

やっぱりわけのわからないトンデモ映画だが、実写版よりは物語がわかりやすかった気もします。社会主義に対する風刺なのか、奇妙な星の造形と風習、に翻弄されながらも、よく考えるとシンプルそのものの物語、やはりカルト映画の分類でしょうね。監督は実写版同様ゲオリギー・ダネリア。遺作である。

 

コンサート会場、チェロ奏者のチジョフの演奏の最中、携帯が鳴る。しかもチジョフ本人の携帯で、顰蹙を買ったところでタイトル、雪の降る道を歩いているチジョフに一人の男トリクが声をかける。従兄弟の息子だというがチジョフには覚えがない。トリクはお金を盗まれたから貸してほしいと適当なことを言って近づいてくる。そこへパジャマ姿の異星人が近づいて来て、故郷へ戻るのに番号がわからないと携帯電話のようなものを出す。トリクが適当にボタンを押すとチジョフとトリクはキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクにワープしてしまう。

 

砂漠のような平原に突然釣鐘のような宇宙船が飛んできて中から奇妙なウエフとピーが現れる。そして「クー」という奇妙な挨拶をする。言葉もわからないチジョフたちはあっけに取られるが、まもなくしてウエフたちはカタコトのロシア語を話し始める。物語は、ズボンの色で階級が分かれているという奇妙な星から脱出するべく、色々奮闘し始める展開となる。

 

なぜかこの星ではマッチが貴重で、チジョフが持っているマッチを手段に宇宙船を手に入れようとするが、警備官という権力者が現れたり、次々と出てくる敵か味方かわからない異星人たちに翻弄される。しかし、いつの間にか奇妙な挨拶にもなれ、次第にこの星に染まっていくものの、時に反抗し、時に媚を売りながら、なんとか地球に戻ろうとする二人。

 

そうやっている中、二人の前に、パジャマ姿の異星人が再び現れる。そして、自分の移動装置でないと元の世界に帰れないと言う。カットが変わり、冒頭の雪の道のシーン、地球に戻った二人だが何故か道ゆく車に「クー」と挨拶をしてしまう。二人は以前とは違って親しくなり、映画は終わっていく。

 

実写版よりキャラクターも増えた上に、場面が広がって、実写なら大作になりそうな描写になったため、逆に実写版よりわかりやすくなった。とはいえ、やはりカルトムービーには変わりなしですね。面白かったけど。

 

「リオの男」

なんとも荒っぽい脚本に能天気な展開、頭の弱いヒロイン、何も考えず前に進むだけの主人公、その場限りの思いつきだけのアクションシーンの連続、一貫したストーリーも無い娯楽作品という感じの典型的なフランスコメディでした。ジャン=ポール・ベルモンド特集の一本でしたが、二時間足らずなのにやたら長く感じてしまう。まあ、気楽に見てればいいのでしょうが、本当に雑な映画でした。監督はフィリップ・ド・ブロカ

 

パリへ向かう列車の中、休暇で戦地から主人公アドリアンが帰ってくる。そんな頃、パリの博物館、一人の男がある土像を盗み出すところから映画は始まる。その土像を発見した三人のうちの一人カタラン教授の元に知らせが届き、その土像の謎が説明される。発見したのはカタランを含め三人の学者で三つの土像を見つけた。三人がそれぞれ一つずつ土像を持ち帰り隠し持つことになった。三人のうちの一人アニエスの父は発見時に死んでいた。アニエスの父はその土蔵を庭に隠していて、その場所をアニエスは知っていた。

 

アドリアンが恋人アニエスのところへ行ったタイミングで悪者たちはアニエスを誘拐、アドリアンはアニエスを助けるために犯人の車の後を追う。犯人はアニエスがかつて父と住んでいたリオに向かった。あれよあれよと飛行機に乗ったアドリアンは、リオに着いてしまう。そこで靴磨きの少年の助けで、アニエスに近づく。この少年、ここで活躍した後登場することなく消えてしまう。なんとも雑な脚本。

 

アニエスは薬を注射されていて朦朧としたままアドリアンに助けられる。そしてアニエスの父の屋敷に行き、土像を掘り出そうとしていてつけて来た犯人と大乱闘、土像を奪われてしまう。これまた間抜けな主人公である。土像を保管する残る一人ディ・カストロに危険を知らせるためアドリアンは向かうが、実は真犯人はカタランで、彼はカストロを殺し、土像を奪い三体を揃える。そしてアニエスを拉致して密林の奥へ向かう。もうアニエスはいらないだろうに、何故かカタランはアニエスに惚れていたと言うとってつけた流れが加わる。

 

アドリアンもカタランらの後を追う。そして、アニエスはなんとか助けるが、カタランは、三体を使って財宝のありかを発見。ところが財宝の入り口が開いたと思った途端洞窟が崩れカタランは埋められてしまう。次々と森が爆破され木が倒れていく。必死で逃げるアドリアンとアニエスの前に、密林開発にやってきた重機の列を見つけて映画は終わる。結局なんやねんと言うラストである。

 

次々とアドリアンがアクションシーンを披露するがそのどれもその場の思いつきにようで全く一貫性も連続性もない。しかも、お決まりの高所でのハラハラドキドキもあり、ターザンまがいのシーンもありとてんこ盛りのアクションションオンパレード。にもかかわらず、いつの間にか物語はそっちのけになってくるし、ヒロインの存在もどうでも良くなるし、ラストは無理矢理兵役に戻るアドリアンの場面で締め括るしと、とにかく荒っぽい適当映画だった。