くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「そして、バトンは渡された」「ハロウィンKILLS」「アイの歌声を聴かせて」

「そして、バトンは渡された」

シンプルでわかりやすい流れで淡々と泣かせてくれる映画でした。悪く言えば、今時こんな古臭いストーリーがあるものかと思いましたが、ラストは自然と涙が出てきたので、実はみんなこういう話を望んでいるのかもしれません。原作はあえて読まずに見ましたが、脚本が弱いのと演出が普通にこなしただけというのはさすがに少しものたりませんでした。でもいい映画です。監督は前田哲。

 

みいたんという一人の少女が友達とふざけている場面から映画は始まる。ここに梨花という女性がいる。同窓会に来た彼女は将来の夫を物色している。と、いかにも打算だけの嫌な女のイメージで登場する。ここにいつもにこやかにしている女子高生優子がいる。学校でも目立たない彼女だがいつも笑顔を絶やさない。彼女の父は森宮というが血は繋がっていない。映画は、みいたんの物語と優子の物語が交互に流れていく。

 

みいたんの母は亡くなっていて、父である水戸と生活しているが、ある日みいたんが帰ると部屋の中はきれいになっていて、一人の女性梨花を紹介される。そして、みいたんに梨花という母ができる。しかし、水戸は、長年の夢だったブラジルでのチョコレート製造を勝手に決めてしまい、梨花らについてきてほしいというが梨花は大反対する。結局みいたんも梨花と残ることになる。しかし、父を慕うみいたんはせっせと手紙を出すが全く返事が来ない。実は梨花が送っていなかった。

 

一方、優子は卒業式で弾くピアノを任されることになった。しかし彼女には幼い頃に大邸宅の前で聞いた、出発の歌、の曲が忘れられないでいた。それを弾いていたのは早瀬という少年だったが、実は優子と同じ学校で、優子も彼のピアノに魅了されていた。子供の頃に少し練習しただけの優子はなかなかうまく練習できず落ち込んでいたが、早瀬は彼女を慰め二人は急接近する。そしてクリスマスの日、早瀬にプレゼントを渡そうとするが彼のそばには別の女性の姿があった。ショックを受けた優子だが、卒業式が迫っていた。

 

みいたんは友達と離れたくなくて、梨花と残ったのだが友達はみんなピアノを習いに行き始める。みいたんもピアノを習いたかったが、梨花らの生活は苦しいのがわかっていた。ところが、梨花は泉ケ原という金持ちの老人と結婚を決めてきて、みいたんはそこでピアノができるようになる。しかし、梨花は、その家での窮屈な生活が耐えられず、ある日、家を出て行ってしまう。悲しむみいたんを泉ケ原は慰める。ところが、間も無くして突然、梨花が戻ってくる。しかも新しい東大卒の恋人ができたという。あっけに取られるみいたんだが、間も無く結婚式となる。新しい彼氏というのが森宮で、みいたんの本名は優子だった。

 

優子は無事卒業式をこなし、やがて、望み通り短大に進み、調理師の免許を取って有名レストランに就職するが、肌に合わず結局やめて、かつてバイトをしたことのある近所の食堂に勤めるようになる。ある日、その食堂のデリバリーでかつて憧れた邸宅に届けに行くと、早瀬が飛び出してくる。一旦音大に入った早瀬は料理人になりたく中退し母親と喧嘩ばかりしていた。やがて早瀬と優子は急接近し恋人同士になる。そして、優子は早瀬と婚約する流れになるが森宮がなかなか許さない。優子と早瀬は、かつての自分の父親をめぐることを決意する。そんな頃、梨花から大量に手紙が届く。それは、みいたんだった頃にブラジルの父に送った手紙だった。そして、泉ケ原を訪ね、青森の水戸の家を訪ねる。そして幸せそうな水戸と新しい家族を見て安心した優子は、実母の墓にやってくるがそこに森宮が現れ、二人の結婚を許すのともう一つ梨花が亡くなったことを知らせる。

 

梨花はかねてから病気で、そのためにブラジルにもついていけず、突然行方をくらましたりもしたのは病気の療養のためだった。若い頃の病気で子供ができなくなっていた彼女は、みいたんを見て、自分の目的を見つけひたすら愛することで生き抜くことを決意し、なりふり構わずみいたんを育てようとしてきたのだった。そして、優子の卒業式にも陰ながら見にきていたのだ。

 

早瀬と優子の結婚式、バージンロードを森宮に引かれて歩く優子の姿。そして、森宮は早瀬に、優子のバトンを渡すと告げて映画は終わります。

 

まあ、ゆるゆるの癒される感動ドラマで、なんの深みもないけれど、ストレートに楽しんで、涙ぐんで映画館を出れる。シンプルそのものの一本でした。こういう映画もあってもいいと思います。

 

「ハロウィンKILLS」

なんの工夫もない、知名度だけで作られたB級映画という感じで、面白くもなんともなかった。監督はデビッド・ゴードン・グリーン。

 

前作でマイケルを地下に閉じ込めて家に火を放ったローリーは救急車で搬送されていくが、すれ違って消防車が火災現場に向かう。ローリーはマイケルを焼き殺したかったが、結局消防隊員も殺されマイケルは逃走する。ハロウインの夜、かつてこの町を恐怖に落とされ、その経験をした少年たちは今やおっさんになって昔話に盛り上がっていた。しかし、マイケルは再び殺戮を始めていた。

 

ローリーは病院へ担ぎ込まれ、娘のアリソンや孫のカレンもやってくるが、マイケルが生きていることを知り、かつての男たちが病院へやってくる。いつの間にか暴徒と化した街の人たちはたまたま逃げてきた精神病患者を追い詰めて自殺させてしまうが、マイケルは次々と殺戮を繰り返していく。そしてついに街の人たちとマイケルが対決、マイケルは倒されるが、お決まりの展開で、マイケルは蘇り、彼の周りの人たちを殺す。そしてアリソンも殺し、かつての自分の部屋で窓の外を見つめるマイケルのカットで映画は終わる。

 

なんとも言えない適当感いっぱいのホラー映画でしたが、テーマ曲が流れるとやはりワクワクしました。

 

「アイの歌声を聴かせて」

ターゲットを中高生にしているのでしょうが、それにしても幼稚なストーリーで参りました。しかも、物語の展開も稚拙な上に、これという引き込まれるものもなく、本当に残念。宣伝を見た時はちょっと面白そうかなと思ったけどがっかりでした。アニメの絵の良さはこの程度なら普通だと思うので、本当に残念。監督は吉浦康裕。

 

ネットの中をイメージした画面から映画は始まるが、この映像も今ひとつしょぼい。時は近未来でしょうか、巨大AI企業が社会の様々なところにインフラを提供しているとある町、AI企業の研究者を母に持つサトミは今朝も仕事で朝帰りに近い母美津子と朝の挨拶をして学校へ向かう。一方美津子は研究所で強引に新しいAIロボットシオンをサトミの学校へ転校生として送り込む実験をする。この物語の発端の理由づけが全くわからない。

 

サトミのクラスに来たシオンは、何かにつけ、サトミに「しあわせか。」と聞き、とんでもないことをする。しかも、サトミの友達らの前で突然メカを吐き出してしまいAIだとバレる。サトミの幼馴染でコンピュータいじりの天才的な才能のあるトウマは、シオンのプログラムを操作するようになる。

 

しかし、ある時、友達のサンダーの試合勝利のお祝いにシオンを伴ってサトミの家でパーティをした際、本来なら学校にいるはずのない実験体シオンが、外にいるのを見つけたAI企業の担当者がシオンを回収にやってくる。しかも、勝手な行動をしたシオンは危険ロボットとして破壊されることになる。さらに、美津子の成功を心良く思わないAI企業の男連中はこれ幸いに美津子を疎んじる。この稚拙な展開はなんだという感じである。

 

しかし、実はシオンのプログラムは、サトミとトウマが幼い頃、トウマが作った音声AIが元で、そのおもちゃが消去される際にプログラムだけがネット上に脱出、ずっとサトミを見続けていたのだ。そしてシオンの体に入ってサトミと再会したのだとわかる。

 

それを知った美津子やサトミらはAI企業に保管されているシオンを取り戻す作戦を実行、シオンのプログラムを解放することに成功する。このなんともセキュリティの弱いリアリティのないクライマックスもなんとも言えない。

 

しかし、美津子は結局会社の上層部に認められ平穏な毎日が戻る。ある時サトミの携帯にシオンのプログラムが連絡を入れてくる。そしてサトミとトウマが手を繋いでようやく恋が成就して映画は終わる。

 

ストーリーの流れがぶつ切りで脈絡が一貫して流れていかないし、細かいところの詰めが甘いし、なんとも言えない平凡なアニメでした。