くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ローズメイカー 奇跡のバラ」「女たち」

「ローズメイカー 奇跡のバラ」

映画としては、陳腐な凡作ではあるけれど、バラというのはこうやって作るんですという勉強にはなりました。ストーリーは雑で人間ドラマも全く描けていないけれど、まあ可もなく不可もなしの当たり障りのない映画でした。監督はピエール・ピノー。

 

薔薇のコンクールの会場、エヴのバラ園から今年の花を持ち込む場面から映画は始まる。しかし資金も底をついて経営も厳しい彼女のバラ園からの作品は入賞することなく、近くにある大きな農園ラマルゼルの作品が今年も優勝する。

 

人を雇うこともできず、閉園するかどうかという中、職業訓練所から三人の素人の従業員を雇うことにする。エヴは、やってきた三人の中の一人フレッドが窃盗のプロであることを知り、起死回生の最後の賭けで門外不出で特許を持っているラマルゼルの農園のライオンという品種を一時借りて新種を作ることにする。と、突然窃盗シーンとなります。

 

なんとか盗み出せたエヴたちは早速交配の準備を進める。そんな作業を見ていた三人も自然交配で練習を始める。これもまた取ってつけた展開です。一方、一時的な資金を作るために、必死でバラを売り始める。と、素人が売り始めて資金が稼げるという展開はどうなんやという適当な流れである。

 

ところが、ある日、雹が降り、バラがほとんどダメになる。さらに交配していた新種は失敗してしまう。いよいよ閉園を覚悟し、ラマルゼルに権利を売ることを決意し契約の日、自然交配していた薔薇の中に奇跡の一本ができていることに気がつき、それでコンクールにチャレンジすることにする。で、冒頭の窃盗はどうするのかという感じである。さらにフレッドには嗅覚の才能があるとエヴが見抜き、調香師になるべく人物を紹介する。

 

やがて薔薇のコンクール、エヴが持ち込んだ新種は見事優勝、フレッドはプロの調香師になるべく旅立って行って映画は終わる。なんとも適当なストーリーである。まあ、凡作の極みという映画でした。

 

「女たち」

全く期待していなかったけれど、それなりに出来上がった作品で、作り手がいい映画にしようという意気込みが感じられる作品でした。これでコロナマスクを取り入れてなかったらもっと評価したいところです。この監督才能あるかもしれません。監督は内田信輝。

 

一人の女性香織が蜂蜜を取る作業をしている。そこに彼女の幼馴染の美咲がやってくる。彼女も香織の養蜂業を手伝っていた。美咲は結婚もせず、就職もできず実家に戻って半身不随の母美津子の世話をしていた。美津子は何かにつけわがままを言って美咲を困らせる。美咲の父は自殺していた。

 

仕事は近くの学童保育所で臨時雇いで勤めていた。この日もヘルパーの青年がやってくる。その青年と美咲は恋仲だった。青年に美咲は独立の手助けにとなけなしの金を渡すが、その直後、別のヘルパーマリアが現れる。そして青年は転勤したのだという。美咲が無理を言って男の行き先を聞き出し、その家に行ってみると、なんと妊娠した女性と暮らしていた。そこへ香織から電話が入るが、男の事で周りが見えなくなっていた美咲は適当に切ってしまう。たまたま警察が不審な人物がいると通報があってやってくる。そして美咲は捕まるが青年は知らんふりをして逃げてしまう。この展開部分はいるのだろうかという場面でした。

 

結局、美咲はすぐに釈放されたが、帰り道香織の養蜂場に警察が来ているのを見かける。慌てて駆けつけてみると、なんと香織は自殺していた。物事がどんどん悪い方へいく苦しさに次第に落ち込んでいく美咲。さらに学童保育所でもトラブルを起こしてしまった上に、休職していた従業員が戻ってきた事でクビになってしまう。

 

美咲が養蜂場へ行ってみると、香織の妹が蜂の世話をしていた。しかもここの蜂蜜は以前から買っていたとマリアもやってくる。この辺りから話が散漫になっていき、何を描くべきかの焦点かズレてくるのですが、マリアは美津子に気に入られていき、家族的な付き合いになっていく反面、みるみる美咲は孤立していく。そして、マリアの契約を解除して、自分で美津子の世話をし始めるが、ついにキレて、美津子の首を絞めようとする。しかし思いとどまった美咲に美津子は、これまで色々悪かったと謝る。

 

しばらくしてマリアが美咲や香織が作っていた蜂蜜を美津子のところに持ってくる。美津子はその蜂蜜を美味しいといい、帰ってきた美咲にありがとうという。美咲もようやく笑顔が戻る。駆けつけた香織の妹も含め、ご飯を作ることになって映画は終わっていく。

 

話があちこち並行して展開していく上に、香織が自殺する日の様子を延々と描いてみたり、何を本筋にしたいのかが見えない作品で、必要のないエピソードなどを思い切って削除すればもっといい映画になった気がします。凡作ではありませんが、もうちょっと脚本段階で練り込んだらよかったかなと思います。