くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「tick、tick...BOOM!チック、チック...ブーン!」

「tick、tick...BOOM!チック、チック...ブーン!」

作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルの映画化作品。映画としては面白いのですが、ストーリーテリングが良くないのとカメラが汚い。典型的な配信映画の劇場公開版という作品で、映画として楽しむには物足りなかった。でも、楽曲が楽しいしテンポがいいのでそれを聞いているだけで十分かもしれません。監督はリン=マニュエル・ミランダ。

 

主人公ジョナサンがピアノの弾き語りをしているドキュメンタリータッチのスタンダード映像から映画は幕を開ける。食堂で働きながらミュージカルの楽曲を作っているジョナサンだが、なかなか目処が見えてこない。やがてスーザンという女性と出会う。彼はロックミュージカル「スーパーゼア」の試聴会に向けてオーディションを行い、準備を進めるが、作曲は遅々として進まない。映画は追い詰められ焦って行くジョナサンの姿を舞台上での弾き語りとミュージカル風の展開を交えながら交互に映像を紡いでいく。

 

舞台上がコミカルに展開し、ドラマ部分もミュージカル調に流れ、その交互のリズム感が面白いはずなのだが、今ひとつ噛み合えわない。しかし、曲のテンポがいいので、それで見せてくれる。追い詰められて行くジョナサンはスーザンとの仲も冷めがちになって行く。やがて試聴会、大物プロデューサーも見に来て高揚するジョナサンだが、試聴会の後どこからもオファーは来なかった。しかしベテランプロデューサーのローズは書き続けることが成功への道だと諭す。

 

物語はこの辺りまでを中心に描き、この後、「チック、チック...ブーン」を作曲の後、名作ミュージカル「RENT」の公演初日の前日に大動脈瘤破裂でジョナサンが亡くなったというテロップが流れる。

 

原案となる舞台があるので、構成はこういうことなのですが映画としての面白みに欠けるのがなんとも残念。曲だけで引っ張るなら舞台以上のものにはならないと思います。さらにNetflix配信映画に共通する画面の汚さがこういう夢物語を描くには向いていなかった気がします。映画としては中の下という作品でした。