くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゲアトルーズ」(デジタルリマスター版)「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」

ゲアトルーズ

こんな映画、凡人監督には絶対に撮れない。まさに傑作というのはこういう映画を言うのでしょうね。淡々と語られる映像のみですが、映像がドラマをうねらせていく展開にぐいぐいと引き込まれてしまいます。しかも、さりげなく配置する鏡や、全体を占める美術トラストのシンプルな室内の美術の対比、室内と戸外の絶妙のバランス、芸術映画の極みとはこういうものでしょうね。素晴らしかった。カール・テオドア・ドライヤー監督の遺作。

 

一人の男グスタフが、何やら書類を開き、妻ゲアトルーズを呼ぶ場面から映画は幕を開ける。奥から出たきた妻に、間も無く大臣になると告げるグスタフ。しかし、ゲアトルーズは、別れましょうと話す。グスタフが聞いてみれば、愛人がいるという。そして明日は一人でオペラに行くという。ゲアトルーズはかつて歌手だった。そして音楽家の前夫はガブリエルで、近日こちらにくるのだという。

 

場面が変わると、ゲアトルーズは、愛人で音楽家のエアランと合挽きをしている。池のそばの公園、ゲアトルーズはエアランにコンスタンスのパーティに行かないでと懇願するが、ガブリエルという有名な音楽家も来るから行くという。そしてゲアトルーズはエアランの部屋に行き愛を交わす。グスタフは妻への愛を取り戻すべくオペラ会場へ迎えに行くが、ゲアトルーズは来ていないと言われすごすごと帰る。家に帰っても妻はいなかった。後日そのことを追求するグスタフ。

 

ゲアトルーズはガブリエルの歓迎パーティにグスタフと出席していた。しかし気分が悪くなり別室で休む。そこへガブリエルがやってきて、先日、コンスタンスのパーティに呼ばれていったが最悪だった話、そこで出会ったエアランという音楽家から、愛人の話、そして最近の獲物の話とその名前を聞いたと告げる。

 

翌日、ゲアトルーズはエアランに別れを告げる。そして旅に出るので一緒に行こうというがエアランは拒否する。自宅に戻ると、ガブリエルが来ていた。ガブリエルはもう一度戻ってきてほしいとゲアトルーズに話す。しかし、ゲアトルーズは受け入れない。そして、友人のアクセルに連絡して、パリで学校に行く事を頼む。

 

それぞれがそれぞれの道を歩いて、時が経つ。すでに老婦人となったゲアトルーズのところにアクセルが訪ねてくる。所詮二人は友人のままだったと話し、ゲアトルーズを一人残してアクセルは帰っていく。こうして映画は終わります。

 

ガブリエルにプレゼントされた鏡を巧みに利用した映像作りや、二人の会話シーンを延々と長回しで描く演出を繰り返しながら、ゲアトルーズが男性達と交わす会話のリズムも素晴らしく、一流の才能の監督が映画を作ればこういう唯一無二のものができるというのをまざまざと見せつけられる傑作でした。

 

「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」

昭和ガメラシリーズの中ではダントツに面白い一本でした。見せ場がいっぱいだし、セットも豪華、さらにギャオスの悪者感も秀でていて、飽きる事なく見れました。監督は湯浅憲明

 

天変地異が続く中、ついに富士山が爆発。そこへガメラが現れ火口へ入っていく。地元の高速道路工事を背景に、なぜか謎の怪光線が山肌に現れるようになる。そして間も無く超音波を発するギャオスが出現する。

 

ガメラが立ち向かうが、超音波になかなかの苦戦、一方人間達も、回転作戦などを施すも倒せない。紫外線が苦手というギャオスの弱点は見つけたものの手も足も出ない中、最終手段で山火事を起こし、足止めをさせ、そこへ駆けつけるガメラの力で倒す作戦に出る。そして、ついにガメラはギャオスを富士山の火口に投げ込んで退治する。こうして映画は終わる。

 

とにかく面白いほどに見せ場が連続で、リアリティに欠けるとはいえ、そこはエンタメ映画と割り切って楽しめます。