くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「東京2020オリンピックSIDE:A」「太陽とボレロ」

東京2020オリンピックSIDE:A」

総監督河瀬直美らしい女性目線の場面が三分の二くらい占めているのがかなり独創的ですが、今回のオリンピックの時代背景というか世界情勢をつぶさに見せる前半部分はなかなか見応えがありました。映像芸術的な部分も流石に力が入っているところもあり、インサートカットのタイミングやクライマックスの畳み掛けるモンタージュなどはなかなか見応えのある仕上がりになっています。

 

日本人選手に焦点を当てた場面が非常に少なく、どちらかというとこの時代に世界の中で問題視されていたウズベキスタンやイラン、イスラエル、黒人などに焦点を当てた編集になっていて、単純に公式記録映画だと捉えて見にいくと肩透かしをくってしまうかもしれません。でも、母と赤ん坊の構図を多用した絵作りは、あれはあれで監督のメッセージが明確に映し出されて良かったと思います。

 

後半であるSIDE:Bを見た後で全体の出来栄えを評価するものでしょうが、今回前半を見た限りではこれもありかなというクオリティの高い作品になっていたと思います。

 

「太陽とボレロ

下手くそなテレビドラマのダイジェスト版のような展開ととってつけたような小ネタの笑い、一体コメディを作りたいのか、人間ドラマを作りたいのか、お金の無駄遣いをしているような映画で、無駄にロケ地だけが豪華でチグハグな上に役者任せの演出不在の作品でした。脚本、監督は水谷豊ですが、あなた才能ないのだから映画作りはやめた方がいいと思う。若手の育成に金だけ出せばいい。

 

本物の指揮者西本智実の実際のオーケストラ演奏の場面から映画は始まる。彼に憧れるあかりが、ある地方都市の弥生交響楽団に所属していたが、弥生交響楽団の運営はかなり厳しく、主催者の花村里子は、音大を出て音楽家になる夢を捨て、アパレル会社を父から引き継いだものの交響楽団の運営は限界がきていた。3年前から恩師である東堂の指揮をお願いしていたが、この日の演奏で血を吐いて倒れてしまう。東堂は食道の癌だった。手術は成功したものの、指揮はできず、花村は、楽団の解散を決意する。

 

とまあ、物語の発端はそうなのですが、花村に言いよるデパートのエリート営業マンや、大学の先輩で中古車会社を経営する鶴間との二人三脚や、楽団メンバー同士の確執などが、下手の極みの如き展開と、間の悪いコミカル展開で挿入されるのはとにかく辟易として来る。一体何をやりたいのだということである。

 

東堂は身寄りがないと言われていたが、どうやら西本智実と親しいらしく、弥生交響楽団の解散コンサートに西本智実が率いる交響楽団も加わり指揮をすることなりというのがクライマックス。そして終わる。

 

下の下の作品の典型で、見ていて気分が悪く、水谷豊の自己満足だけの映画でした。