くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ノスタルジア」

ノスタルジア

アンドレイ・タルコフスキー監督の最高傑作と言われている映画を十年ぶりくらいに再見。

 今回はようやく最後まで映像を追いかけることができた。時折挿入される夢とも幻想とも思えないモノクロームの主人公アンドレイの故郷の景色が、作品の中でどう位置づけられるかなんとなく感じることができた。

 さらに、ドメニコが訴える世界終末を救う唯一の方法として蝋燭を運ぶという儀式をするアンドレイのクライマックスの行動を理解できたような気がします。

 ただ、映像芸術というか映像詩という形式で描き出していくこの作品の魅力はまだまだ完全に理解しきれていないように思います。さりげなく捉える構図の中での光の変化や、構図が一瞬で入れ替わるシュールな編集などなど、映像を楽しむ場面が至る所に散りばめられています。

 タルコフスキー監督得意の水の描写や、音を使った幻想的な演出、ストップモーションを挿入した不可思議な画面など、見れば見るほどに素晴らしい。こういう映画は、何年かに一度じっくり鑑賞すべき作品だなと今回も改めて感じ入りました。