くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カサノバ」「サテリコン」

カサノバ

40年ぶりの再見、豪華絢爛たるSEX絵巻だが、これほどすごい映画だったかと改めて、感嘆してしまいました。セットの物凄さもですが、次はどんなシーンが出てくるのかとワクワクするほどの絵巻物の世界に引き込まれる。ただ、若干長いですね。監督はフェデリコ・フェリーニ

 

ヴェネチアでのカーニバルのシーンから映画は幕を開ける。壮大なセットに圧倒されるが、これが序の口であることにこの後気付かされる。主人公カサノバは、尼僧の求めに応じて、指定された館へ海を越えて向かう。舞台セットのような海のシーン、その後に繰り広げられる退廃的なSEXシーン、色彩美にまず息を呑む。そして帰り道、カサノバは魔術に魅入られたと牢屋に放り込まれ、そこで、彼は過去を思い出す。

 

まもなくして、カサノバは牢屋を脱出し、やがてヨーロッパ中を股にかけての女遍歴が描かれていく。シュールな演出と、目眩くような映像、色彩の数々、現れるシーンそれぞれが独創的で幻想的、次々と女達と関わっていくカサノバは、やがて、人形にさえも交わることになる。そして母との出会いから、彼の晩年へと物語は進んでいく。

 

そして、かつての栄光も薄れてきた老年のカサノバは、若き日の思い出を回想しながら彼を迎えてくれたのは人形だった。こうして人形同士になって踊る二人の姿で映画は暗転し幕を閉じる。みごとです。素晴らしい映像絵巻、これぞフェリーニの世界。素晴らしかった。

 

サテリコン

30年ぶりの再見。壮大でシュールなローマ時代の歴史絵巻、めくるめく展開に何の脈絡もなく、二人の青年エンクリトゥスとアシロトスを通じて現代とローマ時代を重ねて描く風刺劇。その目を見張る映像はさすがに圧倒されるが、シュールすぎる映像展開には凡人の自分の非力を目の当たりにさせられる。監督はフェデリコ・フェリーニ

 

二人の青年、エンクリトゥスとアシリトスが一人の美少年を取り合う場面から映画は始まる。舞台は巨大な建物の内部で、それが突然地震のように崩れると現代の美術館に放り込まれる。そして時に暴君ネロの非道を行う中に放り込まれたかと思うと寵臣ペトロニウスが現れたりする。そして、広大な荒野や、幻想的な景色、そしてギリシャの奴隷船と、時と空間が縦横無尽にジャンプし、そこで繰り広げられるグロテスクとエロティシズムの世界に翻弄されていく。

 

映像が独創的というより創造性の限界を超えた構図に圧倒されるかと思えば、目を背けるようなグロテスクな展開が挿入されていく。まさに天才フェデリコ・フェリーニと我々凡人との感性の開きを突きつけられるような作品でした。圧倒!