くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ストーカー」「ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)」

ストーカー

「ストーカー」
タルコフスキー監督作品でSF映画である。といってもすでに30年近く前に見た作品で、当時も退屈だった覚えがあり、ほとんど覚えていなかった。今回も改めて退屈きわまりない作品であるkとを再確認した。
タルコフスキーらしい映像展開もほとんどないし、ひたすら廃墟をさまよう三人の男の物語で、しかもこれでもかというほど台詞の応酬である。読むだけでもしんどいほどである上に、彼らの行動はいつまでたっても煮え切らないままに言い合ったり、悩んでみたりばかり。

結局、目的の部屋(ゾーン)の手前までいって、散々悶々と会話を交わしたあげく帰ってくるのだから、正直うんざり。

じっくりと何度も繰り返し巻き戻しながら、せりふの一つ一つや、映像のそれぞれを吟味すればそれなりの意味もあるのであろうが、さらっとみている分にはしつこいだけで、しまいには息苦しささえ覚えてきて、しかもゾーンから帰ってからもまだ自宅での奥さんとの会話が続くのだからなんともコメントしようがない。エンディングがでたとたんほっとしてしまった。


ヒロシマモナムール二十四時間の情事)」
アラン・レネ監督作品で、先日みた「去年マリエンバードで」とどこか展開パターンがにているような作品でした。

男女が裸で抱き合っているアップから画面が始まる。体の回りに砂なのか、灰なのかが降りかかっている、合間に広島の平和公園の式典の様子や記念会館の中の様子とナレーションが挿入される。次第に雨に濡れたような姿に変わり、そのうち何もないままの裸体のからむシーンへ移る。
「広島で何もかも見たの?」というせりふが何度も繰り返され、やがて二人の男女の姿が映される。

広島へ映画のロケにきた女優と広島で知り合った男性がなぜか愛し合ったというのが物語の発端であるようだとわかる。

広島の原爆の惨状を写すフィルムやドキュメント映像などが頻繁に挿入される中、この二人の男女の離れられない恋愛感情が次第にエスカレートして描写されていく。このあたり、繰り返される映像、めくるめく空間の交錯などは「去年マリエンバードで」を彷彿とさせる。
最初は反戦問題も含めたテーマを絡めたラブストーリーかと思えたが、次第に戦争フィルムは影を潜めてきて、明日パリに帰るという女の過去の恋愛の話を交わすうちに、さらに二人の感情が高ぶっていく様が美しく語られていくのである。

この作品の後に「去年マリエンバードで」が演出されるところを考えると、この作品はある意味前哨戦であるかのような様相である。

夜の広島をさまよいながら、寄り合い、離れながら二人は次第にお互いが離れられないところまできたことを感じ取り、やがてお互いの家庭よりも二人の愛をはぐくむ決断をしたようなエンディングで幕を閉じる。
二人の戦争体験がもたらす悲劇の過去を絡めた上での引きあう二人のラブストーリーが美しく、アラン・レネらしい映像展開を堪能するにも十分なできばえだったと思います