くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」「007 リビング・デイライツ」(4Kリマスター版)

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

深読みをすれば、東洋人への歪んだ偏見からできた物語のようにも思えるかもしれないが、それをさておけば、ちょっと風変わりな作風の映画だった。ただ、主人公がなぜ人を操ることができる設定にしたのか意味がわからず、ストーリーになんの効果も生み出していない作劇の下手くそさにはちょっと残念。ポップでハイテンポな音楽を背景にしたリズミカルな映像作りをしようとしているようですが、音楽が勝っていて映像が追いついていないし、わざとらしい不気味な夜空もあまりインパクトがない。全体には出来の良くないB級ホラー?サスペンスという映画だった。監督はアナ・リリー・アミールポアー。

 

テンポのいい歌と音楽で、森深くの沼地を縫っていくカメラ、やがて真っ白な一室に入り込むと、拘束衣を着た少女がいる。彼女の名はモナ・リザ。そこへ職員がやってきて、雑な扱いで爪を切り始めるが、少女が睨むと職員は爪切りの鋏を自分の足に突き刺し、さらに少女に操られるように拘束衣を解かれ少女は外に出る。

 

出口でスナック菓子を食べる大柄な男から菓子を奪い、頭をモニターにぶつけさせて施設から外に出る。途中、ヒッピーのような女から線路伝いに行けばニューオーリンズに行けると言われて線路を進んだ少女は夜の街に着く。そこで、チンピラ風の男ファズに助けられてドラッグストアで菓子を買ってもらい車に連れ込まれるが男はモナ・リザをどうしようという感じではない。

 

一方、ドラッグストア前で酔っ払いがいるという通報でやってきたハロルド巡査は、施設から逃げた少女の写真に似た少女を見かけて後を追う。しかし、暗闇で、モナ・リザに睨まれたハロルド巡査は自分の銃で足を撃ち、モナ・リザは逃げてしまう。途中、ファミレスで痴話喧嘩をしている女を助けたモナ・リザは、その女に職場まで連れて行かれる。女はボニー・ベルというストリッパーだった。自分を助けてもらった時にモナ・リザの力を知ったボニー・ベルは試しに客にチップを払わせてみる。

 

ボニーはモナを自宅に連れ帰る。ボニーにはチャーリーという子供がいた。ボニーはモナを連れてATMで金を出している人に暗示をかけて金を奪い始めるが、リスクが高いので、ストリップのチップを余計に払わせるようにして金儲けを始める。そんな母に嫌気がさしてきたチャーリーは、同じく疑問を持ち始めたモナと仲良くなっていく。

 

モナを追うハロルド巡査は、モナとボニーを追い詰めるが、ボニーがモナを利用して逃げようとしたので、モナはボニーの元を離れて逃げ出し、チャーリーを誘って街を出ようと提案する。なけなしの金で二人は逃亡、モナはファズを頼って行く。ファズは二人を逃すために、髪を染め、身分証明書を作り空港へ送り出す。一方、かつて騙した客に捕まったボニーはリンチにあい病院に搬送される。モナを追うハロルド巡査はボニーのところへ行きチャーリーの行き先を問い詰めるがわからない。

 

モナとチャーリーは空港へ着いたが、チャーリーは母の声が聞きたくて携帯を借りで電話をする。その逆探知で空港にいると知ったハロルド巡査らは空港へ向かう。モナとチャーリーは搭乗手続きに並んでいたが、危険を感じたチャーリーはモナに別れを告げて、別の女性を巻き込んで騒ぎを起こし、その隙にモナは飛行機に乗り込む。ハロルド巡査はチャーリーに、どこ行きの飛行機に乗ったか問い詰めるがチャーリーは答えず、モナの乗った飛行機はデトロイトへと飛び去って映画は終わる。

 

モナの能力はほんのわずかしたストーリーに影響してこないし、周りの脇役の存在がどれも平坦で物語を引き立ててこない。ファズがなぜ手助けするのか、ボニーの悪役ぶりも中途半端だし、人間的なドラマが描けていない。しかも、能力のあるのは東洋人で、追いかける巡査は黒人、味方になるのはチンピラと、なんとも安っぽい設定はもう一工夫欲しかった。わざとらしい背景曲のモナリザのフレーズも安っぽい、もっと面白く作れるのではないかと思うが、どうも煮え切らない映画でした。

 

「007 リビング・デイライツ

お話が都合よく進むとはいえ、相当に面白かった。物語の展開がスピーディかつ見せ場の連続というのもあるけれど、非常に整理された脚本が混乱を招かずにどんどんストーリーに引き込んでくれます。ボンドガールのマリアム・ダボも好みだし、とっても楽しいひと時でした。監督はジョン・グレン

 

諜報部員を含めての訓練シーンから映画は幕を開ける。ところが、協力している軍人の中に敵がいて、訓練員が殺されていく。危険を察知したジェームズ・ボンドは敵を追跡、倒してタイトル。ジェームズ・ボンドの次の任務はKGB高官コスコフを護衛して無事亡命させることだった。

 

狙撃手に狙われているという情報から、ボンドはその狙撃手を倒すべく向かいのビルで待ち構える。ところがその狙撃手はさっきまで聴いていたコンサートのチェリストの女性カーラだった。何かを感じたボンドは咄嗟に的を外し、コスコフを無事オーストリアに亡命させることに成功する。

 

ウィーンの屋敷でコスコフはKGBプーシキン将軍が企てているスパイ皆殺し計画の情報を流す。Kはボンドにプーシキン将軍暗殺を司令する。ボンドたちが屋敷を去った直後、KGBが送り込んだ暗殺者がコスコフを拉致しソ連に連れ帰ってしまう。何かおかしいと感じたボンドはカーラに接近する。

 

実はコスコフは武器商人ウィテカーと繋がっていて、プーシキン将軍に武器を流す計画だったがプーシキン将軍が渋っていたため、妨害者を排除するためコスコフが亡命を装ってプーシキン将軍を殺すように仕向けるという最初から仕組まれた計画だった。

 

ボンドはカーラがコスコフの恋人であることを突き止め、カーラをコスコフに引き合わせるということで亡命の手伝いをするかに見せ近づく。タージリンに潜伏しているらしいコスコフの元へ向かったボンドは、プーシキン将軍を暗殺したかに見せる芝居をして安心させ、コスコフに近づく。しかしウィテカーとコスコフはカーラを使ってボンドを拉致するが、カーラもまたコスコフに利用されていた。それを知ったカーラはボンドと共に脱出するがその際レジスタンスの副司令官と知り合う。副司令官はコスコフらにアヘンを売って利益を得ようとしていた。

 

ボンドはその取引を利用してコスコフらを始末しようと考え、取引後、アヘンの輸送機を奪って追いかけてきたカーラと共に飛び立つが、KGBの暗殺者が乗り込んでくる。空中で暗殺者を倒し、なんとか不時着したボンドとカーラは、ウィテカーの屋敷へ潜入し見事ウィテカーを倒す。そこへプーシキン将軍やってきて、駆けつけたコスコフの下手なお芝居も見破って逮捕してモスクワに連れ帰る。カーラにも自由出入国のビザの許可が与えられ、ボンドとカーラが隠れ部屋で抱き合って映画は終わる。

 

少々、ラストがドタバタと締め括られる感がありますが、ストーリー展開がとにかく面白いし、あちこち飛び回る割にはちゃんと整理されているのでわかりやすい。終盤のレジスタンス登場などはかなりご都合主義的ではあるものの、娯楽映画としては相当に面白かった。