くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「すべてうまくいきますように」「絶好調」「健康でさえあれば」「昇天峠」

「すべてうまくいきますように」

映画のクオリティは悪いわけではないけれど、なんとも鬱陶しいしょぼくれた映画だった。ホモである必要があるのか、今のフランスの家族は皆こんなに荒れてギクシャクしてるのか、それぞれの設定がなんともめんどくさくて、みていて気持ちが悪い。主人公のしゃがれ声さえ耳についてしまった。監督はフランソワ・オゾン

 

朝、エマニュエルが呼び出されるところから映画は幕を開ける。父アンドレ脳梗塞で倒れたという妹パスカルからの連絡だった。病院で検査を受ける父の姿を見守りながら、娘たちは不安に襲われる。父は実業家で成功したらしく、母は彫刻家のようで裕福らしい。突然身動き取れなくなり弱ったアンドレは、エマニュエルに、安楽死したいと申し出る。アンドレはゲイで、それでも今の妻クロードと結婚したが妻は息子を産んで以来うつ状態で、しかも足が不自由だった。

 

エマニュエルは、ネットから安楽死について調べ、スイスのベルンに行かなければできないことがわかる。書類を取り寄せ、担当者とも面談の段取りを進めるが、アンドレの容態はみるみる回復し、自分で車椅子に座れるようになる。彼にはジャルダンという恋人がいたが、昨年何かのトラブルで喧嘩別れしていた。そんなジャルダンはアンドレと話をしようと執拗に病院にやって来る。

 

自分で食事もできるようになったアンドレは孫の音楽会の発表が終わってからベルンへ行きたいと希望を示す。少しづつ日程が遅れていくことにエマニュエル達もややほっとしていたが父の意思は揺るがなかった。ベルンに立つ前日、エマニュエルらと食事をし、夜、ジャルダンを病室に招き入れ、形見の高級時計を与える。ところが当日の夜、ベルンへ向かう救急車を待つだけだったのに誰かが警察に通報したことがわかり、警官が病院へやってくる。違法なのか?という展開です。

 

エマニュエル達はアンドレを連れ出して自宅に匿い、エマニュエルとパスカルは警察署へ出頭する。アンドレの弁護士の口添えもあり無事警察署を出たエマニュエル達はアンドレを救急車に乗せ見送る。翌日、ベルンの担当者から、アンドレが予定通り旅だったという連絡が入る。こうして映画は終わります。

 

堅物の父親に翻弄される周りの人たちをコミカルに演出したつもりかもしれないが、どうも今ひとつテンポに乗ってこない。悪夢で驚く声や、寝返りの音などの効果でリズムを作ろうとするが逆の効果になった気もします。しかも、無理矢理のゲイ設定はいかんともしがたく、何もかもがどうも自分に合わない感じでした。

 

「絶好調」

当初は「健康でさえあれば」の中の一編だったらしいが、リマスター時に短編映画の単品として独立させたもの。たわいないコメディですが、ちょっと毒も感じられる一本でした。監督はピエール・エテックス

 

広い草原にテントを張っている主人公ピエールは、警官に咎められ、キャンプ地に移動させられる。ところがそこは鉄条網に囲まれ、しかも中の住民達は普通の都会の日常のように生活していた。あるテントで、穴を掘って脱出すべく画策しているのを見つけ、ピエールはその穴から鉄条網の外に脱出して映画は終わる。

 

「健康でさえあれば」

4編構成のオムニバス映画。どれもこれもドタバタ劇の展開で、これまでみたものよりちょっとベタな感じがしないでもない作品でした。監督はピエール・エテックス

 

舞台上でこれからお芝居が始まる体で映画は始まる。

不眠症

なかなか眠れない主人公は、ベッドに入って吸血鬼の本を読み始める。隣には妻が寝ている。本の中のドラマとベッドの上での物語を交錯させるコミカルな作品で、時に本を逆さまにすると物語も逆さまになったりする。そして夜明け、本の中では吸血鬼が死んでしまい、主人公はやっと眠りにつくが傍の妻が吸血鬼となって目を覚まして映画は終わる。

シネマトグラフ

映画館に入って観客が織りなすコミカルな展開からCMの中に飛び込んでしまう展開を描く作品。

健康でさえあれば

近代化が進む都会で繰り広げられるシュールなドラマ

もう森へなんか行かない

猟のため森へ行った主人公は獲物を探して歩き回る。主人公と柵を作っている男、ハイキングに来た夫婦の三つ巴のドタバタ劇を描いていくコメディで、最後に全員がカーテンコールよろしく礼をしてエンディング。

 

「昇天峠」

お話があっちへ行ったりこっちへ行ったり支離滅裂なロードムービーという感じの作品で、頭とラストは辻褄が合うものの中盤の物語はどうなんやという映画でした。監督はルイス・ブニュエル

 

南の島のとある村、オリベリオはアルビナと結婚することになっていた。この村の風習でアルビナの母に許を請いに来るオルベリオのシーンから映画は幕を開ける。そして披露宴が始まり、村人と騒いだ後、新婚初夜を過ごすために離小島を目指すオリベリオとアルビナだが、途中、オリベリオの兄の船とすれ違い、母が危篤だから戻れと言う。慌ててオリベリオは母の病床に行くが、兄たちと遺産相続の話になる。オリベリオは、家をもらって幼い弟の面倒を見ることを望むが兄達は承知しない。そこで母は村長を呼んで遺言を書くと言う。

 

オリベリオが村長を呼びに行くが、村長は酒を飲んでいて行かないと言う。そこで母は弁護士を呼んでくるようにオリベリオに言う。昇天峠を越えて行かなければならず、オリベリオは一人バスに乗って向かうことにする。バスにはオリベリオに気のある村の女や、議員候補の男などが同乗する。出発して間も無く、バスはパンクし、川に水没し、峠で立ち往生する。臨月の客が出産したり、オリベリオが女に誘惑されたりする。しかも、運転手の母の誕生日だからと突然寄り道することになる。

 

オリベリオはバスを一人で運転する許しを得て弁護士の元に向かう。弁護士は、年なので昇天峠を越えるには無理だからと書類を作ってもらいそこに母の母音を貰えば遺産は兄達に渡らないと言われる。こうして無事村に戻ったオリベリオだが、すでに母は亡くなっていて、兄達は勝手に遺言書を作っていた。オリベリオは弁護士に作ってもらった書類に母音を押し、アルビナに隠し持っておくように言って映画は終わる。

 

まあ、なんとも言えない映画でした。