くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」「ハロウィン THE END」

「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」

とにかく木村大作のカメラが抜群に美しいし、アニメを挿入したり、空に汽車を合成したりするファンタジックな映像が素敵な素直にいい映画でした。監督は大森一樹ですが、あまり癖のない映像作りはかえって主人公の素朴な人柄を引き立てたかもしれません。

 

昭和六年、宮沢賢治が農地に石灰の必要性を説いている場面から映画は始まり、時は遡って大正六年花巻に移る。法華経を信心し、父の営む質屋を嫌う宮沢賢治は友人の保坂と山を歩いて自分の理想論を語っている。実家に戻った賢治は、父の元に質種を持ってきた男の味方になって法外な金を父に出させるが、その後、理想論ばかりを並べる賢治を父政次郎が戒める。それでも賢治の理想主義は揺るぐことはなかった。

 

東京に出て、法華経を広めるべく団体を訪ねるも断られ、小さな印刷会社に入るが、勝手に記事を直して叱られる。そんな賢治をただ一人姉のトシは応援していた。しかしトシは結核に冒される。賢治は花巻に戻り農業学校の教師となり、破天荒な行動で学生たちと接するが、自分の悩みを綴った詩を読んだ同僚の藤原先生はその感性の素晴らしさに圧倒され、それから賢治の親友として付き合うようになる。

 

そんな頃、トシがとうとう結核で亡くなってしまう。落ち込む賢治だが、やがて気を取り直し、理想郷イーハトーブを作り上げるべく農業を始める。そんな賢治に賛同する若者たちも集まり、楽団や演劇を指導するようになる賢治。政次郎はそんな賢治に次第に何かを見出し認めるようになる。政次郎は家業を弟に譲ることにし、自らは県会議員の道を進む。一方賢治は土壌の改良など農業の研究に生涯を捧げていくが、間も無く自身も結核に冒されているのを知る。

 

賢治は身を粉にして科学的な農業を推進し、農民が貧しくならないように理想郷を目指し、その傍ら、詩や物語を綴っていくが、ある夜、血を吐いてしまう。死を自覚した賢治は父に連絡をし花巻に戻ってくる。そして、間も無くして亡くなってしまうが、彼の意思を様々な人が認めるようになったというテロップ、政次郎が賢治の手帳に書かれた福沢諭吉の言葉を読みながら映画は終わる。

 

驚くほどの出来栄えの作品ではありませんが、全体が実に心地よく良質の映画に仕上がっています。脇役の描写も丁寧で、可もなく不可も無いといえがばそれまでかもしれませんが、見る甲斐のある一本でした。

 

「ハロウィン THE END」

惨劇から四十年後を描いた新シリーズの最終章。えらく真面目な映画だった。ジェイミー・リー・カーティス=ローリーもお歳やしね、そろそろ終わらせないとあかんのでしょうか。今回は邪悪というものを哲学的に捉えて、一旦終止符を打った形でマイケルの話を締め括った感じの映画でした。逆に言えば、B級ホラーテイストを一切排除した感じです。監督はデビッド・ゴードン・グリーン

 

マイケル・マイヤーズがふたたびハドンフィーリドの街を恐怖に陥れてから四年、平和を取り戻そうとしていたこの夜、ベビーシッターにやってきたコーリーは子供の両親をパーティに送り出し、子供と遊び始める。両親が禁止していたホラー番組を見ながら過ごしていたが、コーリーが席を外した隙に居なくなる。かくれんぼしているのかとコーリーはあちこちの部屋に入るが突然閉じ込められる。ドアを蹴り開けようと奮闘しているところへ両親が帰ってくるが、ドアが蹴り開けられた拍子に子供が階下に落ちて死んでしまう。以来コーリーは裁判で無罪になったが殺人者として住民に疎まれる。

 

ローリーは、娘をマイケルに殺されたものの、マイケルを撃退し孫のアリソンと暮らしていたが、住民はマイケルを呼び戻した悪人として白い目で見ていた。ある時、町の不良たちに絡まれたコーリーを助けたローリーは、コーリーに好感を持ち、孫のアリソンはコーリーに興味を持って付き合い始める。ところがコーリーは、アリソンと仮装パーティに行った帰り不良たちに絡まれ橋から突き落とされる。そこでコーリーは、弱っているマイケルと出会い、マイケルの邪悪な心を吸収してしまう。

 

邪悪が宿ったことを見抜いたローリーはアリソンとコーリーが交際するのを止めようとするがアリソンは聞かない。そんな時、アリソンに言いよる警官をコーリーはマイケルのところに誘き出しマイケルに殺させる。それによってマイケルは次第に生気を取り戻していく。そして、マイケルとコーリーは不良たちを惨殺する。

 

ローリーは、自ら邪悪を呼び込んだと思い自殺をしようとするが、そこへ邪悪に染まったコーリーが現れ、ローリーの返り討ちに会う。さらに、アリソンが戻ってきたのを知ったコーリーはローリーの目の前で自殺する。そのナイフをローリーが引き抜いたのでアリソンが勘違いして外に飛び出す。

 

ローリーのところにマイケルが最後の決戦にやって来る。そして、ローリーとマイケルの決戦の中、マイケルが瀕死の状態でローリーを道連れにしようとしたところへアリソンが帰ってきてローリーを助ける。そして、身動きできなくなったマイケルの遺体を町の住人たちが担ぎ上げ、人々の不安を取り除かんと、スクラップ処理する機械にマイケルの遺体を投げ込み、ミンチに砕いてしまう。こうしてようやくハドンフィーリドに平和が戻る。ローリーのところに以前から気のある男性がプレゼントを届け、ローリーも、一緒に日本に行こうと答えて映画は終わる。

 

完全に物語は終焉を迎えた感じです。こう締めくくりたかったのでしょうか。本当に普通の映画だった。