くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「裏アカ」「ドリームランド」

「裏アカ」

もうちょっと斬新で度肝を抜くような映像演出や展開を期待していたのですが、所詮、先の読める脚本とよくある展開、そしてメッセージを訴えかけるだけの力強さのない演出でした。まるでテレビドラマのような古臭いオープニングはさすがにいただけなかった。監督は加藤卓哉。

 

青山のアパレルショップで店長を務める真知子の姿から映画は幕を開ける。何か物足りない毎日、年下の店員からも見下げられたような態度を取られ、何とか彼女を守ろうとする同僚の青年佐伯の言葉にさえなんの感慨も生まない毎日を送っている。そんな時、ふとした後輩の言葉から、裏アカを作る。そして、自分の下着姿をアップしたところ、みるみるフォロワーが増えていく。そんな時、一人のフォロワーからメッセージをもらう。

 

ちょっと興味を惹かれ、何気なく返答し、会うことになった真知子だが、ゆーとと名乗るその青年の屈託のない行動に惹かれ、彼がかつて扱っていた高層マンションの空き部屋でSEXをする。満たされたわけではないものの、何かを掴んだかに思えた真知子だが、ゆーとはそれっきりだと明言して姿を消す。しかし間も無くして、ゆーとが真知子とSEXしている時に撮った動画が送られてくる。顔は写っていなかったが、その動画に何かを触発され、真知子はさまざまな男とSEXを繰り返し始める。しかし、ゆーととの時のようなものはなかった。

 

会社の起死回生を相談された真知子は、かつて自分が提案した企画を取り上げてもらい、取引先に向かうが、そこに勤めている原島という青年と出会う。なんとそれはゆーとだった。何もかもを冷たい視線で見つめるゆーとの言葉にどこか素直に受け入れられない真知子。やがて、真知子の企画の完成パーティーが開かれる。ところがそこでのプロモーションビデオの後、真知子が裏アカで撮られた映像や写真が何者かによって挿入されてしまう。どん底に落ちその場をさる真知子。

 

一方、原島は婚約者と例の高層マンションの部屋にやってくる。そこでSEXを始めるが、真知子が窓ガラスに描いた落書きが浮かび上がり原島は行為をやめてしまう。自宅に引きこもった真知子のところに佐伯もやってくるがドアを開けようとしない。真知子は一人フラフラと外に出る。原島はこの日婚約者とマンションへ荷物を運んでいた。その様子を遠くで見る真知子。夜の街に出た真知子は橋の上から携帯を投げ捨て、そのまま歩き去って映画は終わる。

 

ハイテンポな曲を使って軽快に流れていくかに見えるのですが、どこか澱んでいる。しかも、真知子の裏アカでの行動がバレるという展開もちょっとありきたりで、終盤の映像に何かを伝えようとしているかに見えるのですが、ちょっと弱い。もしかしたらという期待は、ちょっとがっかりという感じで終わりました。まあ、普通の映画という感じです。

 

「ドリームランド」

テキサスで暮らす一人の若者の物語という展開なのですが、あちこちに視点が移って、筋の通らない展開が、結局、もやもやした仕上がりになった感じです。しかも、意味もないスタンダードフィルムを挿入したり、無駄な俯瞰撮影が入ったり、何か意味があるのか派手な砂嵐の場面があったりと一貫性がないあざとい演出が散りばめられて、なんともいえない映画だった。監督はマイルズ・ジョリス=ペイラフィット。

 

主人公ユージンの幼い日々、希望に満ちてやってきたテキサスの地だが、思う夢は見えず、砂嵐を恐れる日々。やがて家庭は崩れ、ユージンの父は出て行ってしまう。そして母はジョージという保安官助手と再婚する。ユージンを慕う妹のフィービーが語り手となって兄の物語を描いていく流れとなる。

 

青年になったユージンは友人と窃盗をしたりして日々を過ごしている。義父のジョージに反抗しながらの毎日だったが、友人はこの村を出ていくことにしたと告げる。そんな頃、銀行強盗をして、幼い少女さえも殺したアリソンが逃亡しているというニュースが入る。彼女を見つけたら懸賞金が入るということで、農場の経営者たちは躍起になる。ところが、ユージンはたまたま農場の使っていない小屋に隠れているアリソンを見つける。半分女性への好奇心もあってユージンは彼女を匿う。

 

アリソンは、銀行強盗で人を殺したのは警察の嘘だという。それが事実かどうかわともかく、ユージンはアリソンを守る決心をする。いつまでもぶらぶらしているユージンにジョージは厳しく当たる。そんなジョージへの反抗もあって、アリソンの言うことを鵜呑みにし、義父のポケットから証拠品庫の鍵を盗み、アリソンの書類を盗んで焼いてしまう。折しも巨大な砂嵐が迫っていた。

 

メキシコに行きたいというアリソンの言葉と、実父がメキシコにいるという噂を信じたユージンは義父の車を盗みアリソンと共にメキシコを目指す。メキシコへ連れて行ってくれたら、ユージンに大金を渡すとアリソンは言うが、ユージンの心はアリソンにどっぷり浸っていた。

 

ユージンらを追うジョージらの車にフィービーも潜り込む。アリソンらは銀行強盗をしようとなって銀行へ押しいるが、ふとしたことでユージンは人を撃ってしまう。自暴自棄になったユージンは車を降りるが、逃げないといけないと言うアリソンはユージンと言い争いになる。そこへジョージらが追いつき銃を向ける。逃げるユージンらだが、ジョージの銃がアリソンを捉える。死んだアリソンを残し、ユージンは車で逃げて行って映画は終わっていく。

 

ジョージは本当はユージンを息子として愛していたし、家族のために必死でやっていたのかもしれない。結局ジョージとユージンの父息子の確執の物語だったのかもしれない。などと、色々憶測すればそれはそれでお話が見えるのかもしれないが、どうも散漫な仕上がりです。フィービーの存在が無理矢理感があるし、そのほか色々なシーンがとってつけたように見える。そんな映画でした。