くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大脱走」「ウイークエンド」

大脱走

午前十時の映画祭で、今回はTOHOなんばの1番大スクリーンなので再見。もうスクリーン鑑賞も五回目くらいになる大好きな映画。監督はジョン・スタージェス

 

これだけ回数見ると、今更目新しいものを発見しないかと思われるけれど、やはり、何かを見つけてしまう。今回は、オープニングから無駄なく書き込まれたセリフだった。さりげないシーンやセリフがラストまで生きているのはすごい。しかも、主要人物の描写に手抜きがないので、グイグイと引き込まれていく。まさに、映画作りの教科書と言われるほど、完成された脚本の素晴らしさだろう。当然、それを活かし切った演出と、役者の存在感に感服してしまいます。これこそ名作。

 

トラックの群れが収容所へ向かうシーンにタイトルが被って映画が始まる。ここからもうワクワクである。ヒルズとアイブスがいきなり独房へ放り込まれ、このキーマン二人を外して、ビックエックスのロジャーがやってくる。そしてトンネル作業が始まる。

 

ヒルズが何度も独房に送り込まれ、その度に二十日の日数が流れるので、時間の経過を描写していく。そして、独立記念日の酒を振る舞うシーン、前半のラストである。アイブスが撃たれたことで、ロジャーの計画に乗り気でなかったヒルズが参加、ここでインターミッションの後、後半はどんどんトンネルが進んですぐに開通して脱走シーンへ続く。この時間配分が実に上手い。

 

後は、逃亡時のハプニングからそれぞれの人物がそれぞれに逃亡、ある者は捕まって銃殺、ある者はスイス目前で死んでしまい、ある者はボートで脱出、ある者はレジスタンスと出会い逃げ切る。そして有名なバイクシーンの後、五十人が殺されたという報告から、ヒルズが再度戻ってきて、独房に入って映画は終わる。全く、非の打ち所がない傑作ですね。

 

「ウイークエンド」

相変わらず、なんのことかわからない。現実なのか、寓話なのか、主人公も見当たらず、その場限りのエピソードが羅列され、ひたすら言わんとしたいことを延々と語ってくる。異常なほどの長回しを繰り返して、映像の面白さを見せるかと思えば、グロテスクな場面も挿入してきて、まさに混沌とした世界である。監督はジャン=リュック・ゴダール

 

コリンヌとロランは土曜日の朝、週末旅行に出かける。出がけに隣人と喧嘩をし、銃で追い払われながら都会を出ようとするが、マイカー族の大移動に遭遇して延々と列をなす車を縫って進む。途中事故現場や血まみれの死体などもある。ここの長回しは有名な場面である。田舎町に着いたがトラクターとスポーツカーが衝突、階級闘争を始める始末。ヒッチハイクで車を止めゴミの収集車に乗るが、黒人の運転手は帝国主義を批判する。

 

ようやく田舎に着いたが、母親を惨殺し遺産を手に入れる。しかし、帰り道でゲリラに追われてロランは殺され、コリンヌはゲリラと一緒にロランの肉を貪る。なんとも言えない展開で、いったい現実なのか架空の出来事なのか、全てが訳のわからないままにエンディング。これがゴダールですね。