くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「君は放課後インソムニア」

「君は放課後インソムニア

思いのほか良かった。何もかもが前向きに前向きに進んでいくのがとっても心地よくて、爽やかな青春映画の秀作に仕上がっています。脇役もしっかりとさりげなく主人公たちを引き立てているし、ありきたりな後ろ向きな展開が全くないのがとにかくピュアで素敵。脚本がいいのでしょう、さりげないセリフの数々、挿入されるインサートカットのリズムが映画に爽やかなテンポを生み出していきます。隠れた秀作という感じの1本でした。監督は池田千尋

 

夜の海で、不眠症で眠れない丸太が座って呟いている場面から映画は幕を開ける。毎晩眠れない丸太だが、昼間は教室で居眠りしてしまうほど眠くなってしまう。この日、校内に窓拭き掃除の当番になっていた丸太は、クラスメートから、天文部の部室にある脚立を持ってきて欲しいと言われ渋々天文部の部室に行くが、つい眠ってしまう。

 

ところが気がつくと傍に一人のクラスメートを見つける。彼女の名は伊咲と言って、彼女も不眠症で、いつもここで時間を潰して眠っているのだという。これをきっかけに二人はことあるごとにこの部屋で眠るようになるが、展望台のドームが動いているのを保健室の倉敷先生に見つかってしまう。倉敷の提案で、丸太らが天文部を再開させれば堂々と使えると言われ、早速伊咲と丸太は天文部を再開しるべく動き始める。かつての先輩白丸を訪ね、部の活動として観望会を開催しることにする。

 

丸太と伊咲はそれぞれ親しい友人に声をかけ手伝ってもらうことにし、計画は順調に進むが、当日大雨が降り中止になってしまう。落ち込んでいる丸太に伊咲は、自分は心臓に欠陥があり、幼い頃から入退院と手術を繰り返していたことを告白する。眠ったら心臓が止まるのではないかと毎晩不安なのだと言う。伊咲は、幼い頃同じ病室だったが、亡くなってしまった友達の家をいつも訪問して仏壇に手を合わせていた。丸太と伊咲はラジオアプリでお互いの気持ちを語り合う遊びをしるようになっていた。

 

活動が頓挫した丸太たちは白丸を訪ねる。そして、天体写真のコンクールに応募したらいいとアドバイスされる。丸太たちは白丸が入選した写真の撮影地をゴールにして天体合宿を計画、倉敷先生と一緒に丸太の父、伊咲の両親に許可を求めに行く。伊咲の両親は伊咲の姉早矢を監視役に同行することで了承する。

 

やがて、目的地で伊咲の祖母の実家にやってきた丸太たちは早速写真を撮る段取りを進める。一人準備する丸太に早矢は、伊咲の病気の話、哀れみで付き合ってほしくないと話す。早矢は、監視役を口実に彼氏とお泊まり旅行に行くつもりだったらしく、丸太らを残して出て行ってしまうが、しばらくしてそのことがバレ、伊咲の両親が迎えに来ることになる。

 

ゴール地点での写真をどうしても撮りたい丸太と伊咲は、置き手紙を残して能登半島のゴール地点へ向かう。そして、写真を撮り、そこで丸太は伊咲に告白する。一番嬉しい瞬間の写真を撮って欲しいと伊咲は丸太に言う。そのまま引き返すが、途中伊咲の体調が悪くなる。駆けつけた両親によって伊咲は自宅に連れ戻され、再検査となる。

 

伊咲は検査入院となり、丸太は伊咲に会えなくなる悶々とする日の中、ニ学期が始まる。丸太が天文部の部屋で一人過ごしていると白丸が現れ、写真が入選した事を知らせる。丸太は、入選した報告と写真を持って伊咲の家を訪れ、玄関先で母に拒まれながらも必死で懇願、二階にいた伊咲が顔を出す。そして、伊咲は私も丸太が好きだと告白する。

 

丸太は友達に集まってもらい、もう一度観望会をやりたいので協力してほしいと頼み、伊咲に告白したことを告げる。クラスメートたちは早速観望会の準備にかかる。こうして映画は終わっていきます。エンドクレジットの後、元気になった伊咲と丸太は手を繋いで海辺ではしゃいでいる場面で暗転。

 

とにかく、主人公二人が常に前向きに進む姿がとっても心地よく、純粋すぎる青春ラブストーリーという清潔感に満ちていて、清々しいほどに爽やかな映画に仕上がっておます。決して傑作ではないけれど、埋もれてほしくない一本でした。