くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ひらいて」「ビルド・ア・ガール」「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」

「ひらいて」

オープニングが面白かったのでそのままテンポよく行くのかと思ったが、だんだん感が表に出てきて、それぞれのキャラクターが浮き上がってこないし、物語の核が見えて来なくなってしまって、ラストはそれでもこう終わりましたという流れ、原作が悪いのかどこが悪いのかわからないけれど、そういう印象の映画でした。監督は首藤凛。

 

ある高校の校庭で女子高生たちが文化祭のダンス練習をしている俯瞰のカメラから映画は始まる。このオープニングがなかなかいい。そして一人の少女美雪が抜けて走っていく。彼女を追いかけて愛が後を追うと、美雪が倒れている。愛は飲み物を持って口移しに与える。こうして映画は始まる。美雪は糖尿病で低血糖になったようだ。愛はクラスでも人気があり成績も良かった。しかし、愛はクラスメートのたとえのことが好きだった。

 

愛はたとえが廊下で手紙を読んでいるのを見つける。どう見てもラブレターだと思った愛は、たまたま夜にふざけて学校に忍び込もうとする友達と校舎に入り、たとえの手紙を持ってきてしまう。そこには、美雪という別のクラスの女の子からたとえへの手紙だった。二人は付き合っていたのだ。愛は嫉妬と興味で美雪に近づく。

 

あまり目立たず友達もいない美雪は愛と仲良くすることが嬉しく、一緒に映画に行ったりカラオケに行く。美雪はたとえと手を握る程度だと話され愛のたとえへの心はますます大きくなっていく。勉強もてにつかず、ダンスも身が入らず、周囲が心配するほどに変わっていく愛は、文化祭の準備のオブジェを作るためたとえと夜間に作業をしていて、たとえに告白するが、そっけない返事をもらう。それがさらに愛の心を壊して行き、ある日、美雪の家に行った愛はみゆきに濃厚なキスをし、体を触る。美雪はされるままに身を任せる。

 

しばらくして、美雪の家で二人きりの日、二人は裸になって体を合わせる。それでも愛はたとえのことが忘れられない。美雪に携帯でたとえを学校に呼び出した愛は、服を脱いでたとえに詰め寄るが、たとえは愛の仕草どれもが嘘に見えるとその場を後にする。愛の行動はますます壊れて行き、突然授業を抜けて出て行ったりする。

 

たとえは東京の大学に合格し、美雪は進学せずにたとえについていくと愛に話す。そんな時、美雪が慌てて走っているのを見かけた愛は、美雪に問いただすと、たとえの父が暴れているのでいくのだという。二人でたとえの家にいくがたとえの父はたとえが東京に行くことに反対をしていた。そんな父を愛はつい殴ってしまう。

 

三人で飛び出してきて、差し当たりホテルに駆け込む。翌朝、学校へ行った愛は、突然教室を抜け出し、美雪の教室に行って、美雪にまた一緒に寝ようと話して映画は終わる。

 

解説では禁断の三角関係の話だと書かれているが、その空気感が非常に希薄で、愛が壊れていくのだけが前面に出て、妖しいラブストーリーが見えてこない。終盤はかなり駆け込みの状態で流れて行くし、原因が三人の演技力不足か演出の弱さかわからないけれど、今ひとつ仕上がり切らない作品でした。

 

「ビルド・ア・ガール」

超特急のように走る物語が突然急ブレーキがかかりスローテンポでラストを迎える。そのリズム転換がとっても楽しい上に、しんみりと胸に迫りエンディングが素敵。こういうドラマ作りもありだなという感じの素敵な映画でした。監督はコーキー・ギェドロイツ。

 

図書館の窓辺の席で外をぼんやり見つめるジョアンナは16歳、何の変化もなく平凡な毎日。いつも妄想の中で過ごしている。こうして映画は始まる。父は元売れないミュージシャン、兄弟も多く、母は生まれたばかりの赤ん坊に手を焼いている。自分の部屋にはさまざまな写真が貼られていて、その写真と話をする毎日だが、想像力と文才はあった。

 

ある時、音楽雑誌K &MEのライターに応募した彼女の記事が気に入られ、ロンドンへ乗り込み雑誌に辛口コメントを書きドリー・ワイルドとして人気を博して行く。そして人気ロック歌手ジョン・カイトの取材をすることになるが、彼女はジョンに恋してしまう。感情的に書いたジョアンナの記事は採用されず、刺激的な記事を要求されジョアンナは仕方なく応じてさらに人気を得る。そしてとうとう、ジョンに真面目に告白してしまう。しかし、まだ16歳の彼女に応えるわけにいかないジョンはキスを断る。

 

ショックを受けたジョアンナは、ジョンと初めて会ったときに聞かされたジョンの過去を辛口で記事にし、クソッタレ賞まで獲得して社内でもてはやされるようになる。しかしジョンからは疎まれ、自暴自棄に学校も辞め、家族にも暴言を吐いてしまう。そして出版社のメンバーと馬鹿騒ぎするようになる。しかし、あるパーティで、ジョアンナが席を外した時に、自分が馬鹿にされているのを聞き、その場を後にする。

 

ところが家に帰ってみれば、家族は彼女から距離を置いているのを知り、絶望して手首を切ろうとするがクソッタレ賞のトロフィが落ちてきて頭に当たり気を失う。病院で目覚めた彼女に家族が集まってくる。退院した彼女は、これまで批判してきたミュージシャン一人一人に謝罪の電話をし、今の思いを記事にして大手出版社に応募、見事採用が決まる。

 

最後にジョアンナはジョンに直接謝りに行く。そして彼に、本来書くはずだった記事の原稿と、バッサリ切った自分の髪の毛を渡す。ジョンは気を取り直し彼女をバーに誘う。途中振り返ったジョアンナは観客に向かって、失敗したらすぐに切り返して次に進むことを繰り返すようにと叫んで映画は終わる。

 

とにかくハイテンポからローテンポに一気に切り返して彼女の未来を見せる展開がとってもいい。こういう作り方もあるかなと感心するとともに、考えさせられるいい映画でした。

 

「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」

なんともダラダラしたストーリー展開ですが、これもまた大映怪獣映画の一本。特撮シーンも秀でたものがない作品ですが、怪獣映画は好きなので楽しみました。監督は田中重雄。

 

第一作でロケットで宇宙に追放されたガメラが、乗せたロケットが隕石とぶつかってロケットが壊れ、ガメラは逃げ出し地球へやってくる。一方、戦時中にニューギニアで見つけた巨大オパールを探しに男たちが向かう。しかし、手に入れたオパールは島に伝わるバルゴンの卵で、欲が絡んで日本へ来たものの、途中船内で孵化して巨大化、神戸港に現れる。

 

バルゴンは背中から虹の光線を出すことから、そのエネルギーを目指してガメラが来襲、しかしガメラはバルゴンの冷凍光線で凍らされてしまう。バルゴンは水に弱いとニューギニアから来た女のアドバイスで、巨大ダイヤの光で誘導しようとするが失敗、バルゴンの虹を鏡で反射させて倒す作戦も失敗、そこへ溶けたガメラが再びバルゴンを襲い、バリゴンを琵琶湖に沈めて倒す。ガメラはその後どうなったかは言及せずに映画は終わる。まあ、適当感満載の一本ですが、楽しめました。