くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カラオケ行こ!」

「カラオケ行こ!」

肩の力の抜けた綾野剛が意外にいい感じに映画をまとめていて、力の抜けたゆるゆる感が妙に心地よい映画だった。決して出来の良い作品ではないものの、その普通感ゆえか、かえって気持ち良く映画館を出ることができました、監督は山下敦弘

 

土砂降りの雨、びしょ濡れのカッターシャツに背中の刺青が透けている男が歩いている場面から映画は幕を開ける。ふと傍のホールでは合唱コンクールの大阪代表を決める大会が開かれ、岡聡実が部長を務める中学校合唱部が舞台に立っていた。結局三位に終わり、全国大会進出を逃したが、臨時担任のもも先生はみんなを励まし、帰りのバスに連れて行こうとする。しかしトロフィーを忘れたことに気がつき、聡実が取りに行く。ところが、聡実が玄関まで来ると一人の男がカラオケ行こうと誘ってくる。

 

男の名は成田狂児というヤクザだった。わけもわからずカラオケに行った聡実だが、成田は歌のレッスンをして欲しいと頼む。 間も無く開かれる組長の誕生日でのカラオケ大会で最下位になると組長に下手な刺青を彫られるのでそれを避けたいというのだ。しかも成田の勝負曲はX Japan「紅」だという。あまりに無理な選曲に、聡実は選曲の変更などをアドバイスすることになる。

 

最初は、避けていた聡実だが、憎めない態度で成田が近づいてくるので、次第に親しくなってカラオケにいくようになる。成田は希望する組員全員を連れてきたりするが、聡実は、成田一人ならなんとかするという。一方、クラブでは中学最後の合唱会に向けて練習が始まっていた。しかし、声変わりに気がついた聡実は、練習を避けるようになり、同じくソプラノの後輩に責められたりして悩む。

 

合唱会の日と成田らのカラオケ会の日は同日だった。気が進まない聡実は、やや遅れて会場へ向かうバスに乗るが、途中、いつも成田と行っていたカラオケボックスの前で成田の車が事故に遭い、救急車で成田らしき人物が運ばれるのを目撃する。とりあえず、会場に着いた聡実だが、身が入らず、ソプランを後輩に任せ、成田らのカラオケ大会開催のスナックへ向かう。

 

聡実が着くと、組長以下組員がカラオケをしていた。聡実は組長から、成田が地獄に落ちたと聞かされ、亡くなったと知った聡実は、平気でカラオケをしている組員を罵倒し、組長に言われるままマイクを渡される。聡実は、成田の「紅」絶唱して大喝采を浴びるが、傍に成田がいた。実は成田の車に暴走車が突っ込んできたが、大怪我を負ったのは突っ込んできた方で成田は軽傷だったのだという。涙ぐむ聡実の場面から、聡実らの卒業式の日に移る。

 

成田との連絡もできなくなり、成田らの事務所のあったみなみ銀座もホテルに建て替えられることになる。聡実はみなみ銀座を訪れるが、忙しく引っ越しをする住民たちの姿しかなかった。そして、三年が過ぎ、巨大なホテルが立ち上がってきた。聡実の携帯に成田から連絡が入る。「カラオケ行こ」こうして映画は終わる。

 

脚本が悪いのか、役者同士のセリフの間合いが今ひとつ乗っていなくて、聡実の両親のおとぼけ場面や、聡実が入り浸る一人映画鑑賞クラブでのコミカルなシーン、聡実と副部長と後輩が絡んだボケとツッコミも今ひとつリズムが合っていないが、その不器用さが映画全体を肩の凝らないものに仕上げたかもしれない。たわいない作品ですが、とっても気楽に見れました。