くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「争う美人姉妹(改題前 処女宝)」

「争う美人姉妹」

なんとも言えないぐだぐだのメロドラマですが、あまりにも展開がめんどくさいのでそれはそれで面白かった。資料によるとオリジナルは90分ほどあるようなので、今回60分あまりになっているのは、再編集したものだろうと思います。貴重な一本という映画でした。監督は島耕二。

 

競馬場で、金持ちの御曹司塙義太郎と友人が歓談している。ミス東京の写真が載った雑誌を拾ったがその女性は立花真弓という有名なお嬢さんだった。塙が、この女性と結婚できるかどうかという賭けを友人と交わして映画は幕を開ける。真弓には劇作家の船田という恋人がいたが、まだまだ売れない船田は貧乏生活をしていた。ある夜、下宿に来た真弓に船田が強引に迫ったことから二人の間に溝ができる。折しも塙との見合い話が来ていた真弓は、塙のホームパーティなどで華やかな生活を知り、つい塙と結婚することになってしまう。

 

真弓に振られた船田は落胆して仕事が手につかなくなるが、そんな船田を真弓の妹真金が慰めに寄るようになる。もともと気の優しい真金はいつの間にか船田と恋仲になり間も無く結婚する。一方真弓は、女遊びが過ぎる塙との夫婦仲が冷め切っていた。やがて船田は劇作家として成功する。夫との愛が冷めた真弓はつい船田に近づくようになり、やがて、強引に迫るようになっていく。女遊びが好きな塙だが、真弓のことも大切に思っていて、真弓の行動に嫉妬するようになる。

 

真弓は塙の家を飛び出し真金の家に強引に住もうとやってくるが、真金はショックで家を飛び出してしまう。そこへ船田が帰ってくるが、真弓の強引さに辟易としてしまう。真金は実家にいくがそこで倒れてしまう。どうやら真金は妊娠しているというのを聞いた真弓は真金に謝りに行き、自分の浅はかな行動を反省し、塙の元に戻る決心をして船田に謝り、真金のところへいかせて映画は終わる。

 

とにかく身勝手そのものの真弓の言動と、優柔不断の極みの船田の姿にイライラしてくる展開で、それでも、流石に島耕二監督の演出力はギリギリである程度のクオリティで収めているのは立派である。クライマックス、当時のメロドラマの典型で歌が流れる下にはニンマリしてしまった。こういう古い映画はこれはこれで本当に楽しいです。